ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
実写映画化、ドラマ化もされた敷村良子さんの青春小説が原作の劇場版アニメ「がんばっていきまっしょい」(櫻木優平監督)が10月25日に公開された。原作は、1995年に「坊っちゃん文学賞」大賞を受賞した傑作青春小説。1998年に俳優の田中麗奈主演で実写映画化され、ロングランヒットした。2005年には、鈴木杏さん、錦戸亮さん主演のドラマが放送された。アニメは、主人公・村上悦子役の雨宮天さん、佐伯姫役の伊藤美来さん、高橋梨衣奈役の高橋李依さん、兵頭妙子役の鬼頭明里さん、井本真優美役の長谷川育美さんら豪華声優陣が出演することも話題になっている。高橋さんに収録の裏側、高校時代の思い出を聞いた。
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「がんばっていきまっしょい」は、愛媛県松山市を舞台に、ボート部に青春をかける女子高校生の成長や、心のゆらぎが描かれる。“青春”が詰まった作品ではあるが、“青春”と一言では説明しきれない魅力がある。
「オーディションを受けるにあたり、作品について調べましたが、今回のアニメは今の時代を生きている少女たちで再構成とのことで、これまでのドラマや映画を見ての役作りではなく、今から作る空気感を大事にしようとしました。青春が詰まっている作品ですが、『青春だね』と一言で済ませちゃいけないようにも感じています。当時抱いていたちょっとした出来事に対する浮かれ方、落ち込み方がすごく詰まっていて、会話や出来事の一つ一つが全部地続きになっているところが好きなところです。ボートのことがしっかり描かれている作品ですが、ボートに触れているこの年頃の少女たちが大事な要素でもあるなと感じる作品でした」
高橋さんが演じる高橋梨衣奈は、悦子がいる2年B組に編入してきた埼玉からの転校生。クラスマッチの行事を見て感化され、悦子たちを巻き込んでボート部を復活させる。物怖じしない前向きな性格だが、男子と話すことが苦手。部内のニックネームは“リー”。高橋さん自身も埼玉県出身で、名前も似ている。
「こんなに名前が似ている役は初めてですし、すごくドキドキしました。埼玉県出身というのにもびっくりしました。当て書きなの?とも正直思っちゃったのですが、全然そんなことはなくて(笑)。先日、舞台あいさつがあって、その時に監督から『偶然だった』というお話を聞けて、すごくホッとしたところもあります。埼玉からの転校生ということで、私の個人的な感覚ではあるのですが、同じ名字の人たちには、らしさみたいなものがあるんじゃないかと思っているんです。田中さんは田中同士に感じるシンパシーがあったり、高橋に高橋らしさがあるのでは?と。“高橋あるある”で、クラスに2人くらいいるので、高橋(李)と表記されたり、“たか○○”とあだ名を付けてみたり、いっそのこと“高橋”と呼ばれてきたとか。私も高橋をやってきたので、高橋に対して特別な仲間意識というか。共通項が多いという自信よりは、親近感がすごくあります。高橋という装備を身に付け、一緒に人生を歩んできたような気持ちが大きいです」
“高橋らしさ”とは一体!? 気になるところだ。
「あまりにもよくある名字なので、自虐はありますかね。個人的に、“埼玉”からも同じような香りはしていて(笑)。埼玉の人は、埼玉のことを自虐する癖があるけど、ほかの地域の人に言われるとなんか違うなってなるというか。そんな感覚の、高橋同士にも何か自虐し合える瞬間がありそうに感じています。もちろん全国の高橋さんがどう思うかは分かりませんし、高橋代表というわけではないのですが!高橋として生きてきていない人よりは、高橋に慣れているし、演じる時に生かせると思っちゃいます。謎の自信ですね。根拠はほとんどないです(笑)」
高橋さんはオーディションで、リー以外の役も受けたというが、一番しっくりきたのはリーだった。
「オーディションの時、役名と自分の名前を言ってから始まるのですが、『高橋梨衣奈』と言った瞬間に、この子はこうしゃべるかも……と自分の中から創作意欲のようなものが湧いてきました。オーディションのセリフはいつもより少なめの3ワードで。その中にも『埼玉から転校してきました。高橋梨衣奈です』というセリフはあったんです。きっと、オーディション参加者の中で一番この名前を言い慣れてそうなのは私だ!と自信に変えていました(笑)」
リーは元気だがへこみやすいところもあり、主人公・悦ネエ(悦子)とはまた違う意味で今時の普通の高校生のようにも見える。アニメでは、普通の高校生の繊細な感情を丁寧に描いている。
「自分の感情に素直なのは二人共ですが、悦ネエとはアウトプットが違うなと思います。リーは喜びも悲しみも言葉に出すし、表情も豊か。ほかでいうと、悦ネエとヒメは幼なじみで、ダッコとイモッチも幼なじみ。リーは誰かと常に一緒にいるのではなく、誰とでも一緒にいられる子だなとも気付きました。イモッチと二人で歩いているシーンもあれば、ヒメと、悦ネエのことを話しているシーンもあるんですよね」
リーはムードメーカーでもある。高橋さんは“いきすぎない”演技を意識した。
「5人全体のバランスを踏まえて、全部“いきすぎない”ことを意識していました。例えば、甘えんぼすぎる、泣き虫すぎる、意見をはっきり言いすぎる、気を遣いすぎるなど。個性だからと言ってギアを上げすぎると、ダッコやイモッチの居る、濃いめのキャラクターに分布が偏ってしまうため、少し抑えるようにしています。一番繊細な表現の多い、悦ネエ(雨宮さん)と一緒に収録することができたので、悦ネエと会話している時にも浮かない空気感というのはとても参考になりました」
リーはボート部を復活させるなど行動力がある。高橋さん自身も高校時代、行動力があった方だったという。
「リーが『ボート部ないの? じゃあ作ろう!』となるところはすごく分かります。私は放送部に所属していたのですが、合宿がなかったんです。でもどうしてもやってみたくて。自分で調べて、先生を説得して、最終的にみんなで合宿に行けたことを思い出しましたね。放送部ではラジオドラマを作るので、音の素材を集音している子がいたり、私はアナウンス部門だったので朝起きて、山に向かって発声練習をしたりして。今思うと青春ですね。部活や文化祭が大好きだったんです。みんなで集まって何かすることにトキメキを感じるタイプなので、リーの気持ちがよく分かるというか。今のお仕事もみんなで作るものですし、楽しいと感じることは一貫していますね」
中学時代から声優を目指していた。
「中学の時から目指し始めて、声優のことを学べる高校に今すぐにでも行きたかったのですが、親に保険はあった方がいいと諭され、普通の高校に行きました。勉強も頑張りつつ、声優の基礎につながりそうな放送部に入ってみて。高校の時から早く何かしたくてウズウズしていたんです。ウズウズしている時間ももったいないので、公募のオーディションはずっと探していました。貪欲でしたね(笑)。放送部での活動は、伝統的な早口言葉、滑舌表での基礎練習もあったので、その後養成所に入った時に、放送部でやったやつだ!と、高校時代の経験が早速生きました」
今となっては、高橋さんのアナウンスを高校で聞けるなんて何とも贅沢にも感じる。
「こっそりオタクな曲を掛けていましたしね(笑)。当時は、J-POPのランキングにアニソンがよく入るようになったので、『放課後ティータイム、●位!』とか、気持ち強めに紹介していました(笑)。悦ネエのように高校時代を過ごす感覚もわかるのですが、私としてはリーのようなエネルギーは、特に理解しやすかったです」
アニメ「がんばっていきまっしょい」では、“高橋梨衣奈”とシンクロした“高橋李依”の演技にぜひ注目してほしい。最後に、高橋さんにアニメの見どころを語ってもらった。
「作品のことを知らなかった方にも、ぜひ気軽に劇場に足を運んでいただきたいです。ボート部を再結成させるお話……と、たとえばこの作品が4コママンガだったら、リーは主人公になりえるようなポジションの子で。でも、この作品の主人公が悦ネエというところがまた魅力的なんです。悦ネエの心の機微を、細部まで受け取っていただきたいですね。今回、CGで作るということで、きっと海の波、ボートに乗った時の気持ちよさが伝わってくるのかな?と思っていたら、想像以上でした! キャラクターの瞳もとてもキレイで。瞳でも、細かな芝居をしているんです。歩き方、歩幅にもキャラクター性が詰まっていたり、心境が伝わってきて、フィルムの中で、ずっと地続きに生きているような感覚がありました。ぜひ体感してほしいです。」
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