海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
白乃雪さんのマンガ(講談社)が原作の連続ドラマ「あたりのキッチン!」(東海テレビ・フジテレビ系、土曜午後11時40分)にレギュラー出演している工藤美桜さん。本作は心温まるグルメドラマで、過去にも共演している主演の桜田ひよりさんとは「すごくいい距離感です」と明かす。自身も料理はよくするといい、「仕事と家事は手が抜けないタイプ」とも話す工藤さんに、今回のドラマや役の話に加え、転機となった作品や仕事へと向かう“原動力”について語ってもらった。
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「あたりのキッチン!」で工藤さんが演じるのは、医学部に通う大学3年生の鈴代桜。学年トップの成績で入学した秀才で、勉強が趣味。キャンパスでは医学部の授業以外にもさまざまな一般教養科目を受講し、手にはいつも参考書を持ち、課題やレポート作りで頼りにされるが、工藤さんは「抜けているところもあるし、そこが可愛い」という。
「一見コミュニケーション能力がありそうで、周りから見ても“華がある”イメージなのですが、そこまでしっかりしていない。自分の中に特別なもの、大切なものはあるけれど、表現するのは苦手で不器用。もどかしいところもあって、演じていて楽しいです」
桜は、“コミュ力ゼロの大学生”の主人公・辺清美(桜田さん)が「友達なんて恐れ多い」と思いつつ、交流を深めていく相手。一人暮らしだが料理にはまったく興味がない桜、一度食べた料理は食材はもちろん、調味料の配合までわかる“絶対味覚”を持ち、料理の腕はピカイチの清美、真逆のタイプの2人の関係性もドラマの見どころとなる。
「2人の掛け合いも多くて、台本3ページ分くらいずっとしゃべっているシーンもある。桜と清美が食を通して、関係性が深まっていくのも見どころです。桜は、不器用なのですが、他者を否定しないで素直に受け入れたり、新たな気づきがあっても感動できる子だから、そこはしっかり出していこうと意識しました」
役と違って工藤さん自身は料理好き。グルメ系のマンガ、映像作品をよく見ていて、劇中料理を再現することもあるという。
「『きのう何食べた?』がすごく好きで、レシピもよくまねていました。ナポリタンとかめっちゃおいしくできて、それを自分のもののように作っています(笑い)」
「あたりのキッチン!」にも、清美が作るおいしそうな料理がもれなく登場する。
「現場でも、めちゃくちゃおなかがすくんですよ。レシピもまねしたくなるし、それが映像を通じて、視聴者の皆さんにも届くような、ハートフルなドラマになっていると思います」
スーパー戦隊シリーズ「魔進戦隊キラメイジャー」のキラメイピンク/大治小夜役などで知られる工藤さん。“戦隊”以降も作品を重ねつつ、雑誌「with(ウィズ)」(講談社)のレギュラーモデルとしても活躍してきた。
「この世界に入ったきっかけがモデルで、モデルのお仕事はずっと好きで楽しくて、この先も続けていきたいと思っています。自分ではよく分からないのですが、この前、ヘアメークさんから『カメラの前に立つと急にスイッチが入るから面白い』『女優さんって感じがする』と言われて。自分でも『そうなんだ』という新しい発見で、気づかぬうちに(俳優業と)通じるものがあるのかなって感じました」
先日、24歳の誕生日を迎えた工藤さんは、髪の長さもすっかり短めが定着し、さらに大人の女性としての美しさを感じさせるようにもなった。
「ショートにして、自分のいさぎよいところ、強気なところが出るようになった気がします。おっとりとした印象を持ってもらうことが多いのですが、意志は固い方なんです」
そんな工藤さんは、スーパー戦隊に出演したことが転機の一つになったと明かす。
「戦隊をやって、同世代の子たちがみんな頑張っているところを間近で見て、自分も負けないように頑張ろうってなったというか。仲間だから助け合うし、受け入れ合うのですが、みんなお互い負けないようにってところがモチベーションにもなって。より挑戦しようって思えたし、挑戦できて殻をやぶることができたと思います」
戦隊で学んだものの中で、今も最も大切にしているのが「挑戦すること」だ。
「最大限を出して、そこから引くことは簡単だから、とりあえず最大限出そうと」
そして工藤さんは、自身を突き動かすものとして「自分への期待」を挙げた。
「自分で自分の可能性を信じているから、もっと学べるし、もっと頑張れる。そうすることでもっと世界が開けて、今よりももっと頑張れると思うので。性格的に根が素直だと思うし、どんな役の人生も受け入れて、努力もできると思うので、その部分を忘れずにこれからもやっていきたいです」