薬屋のひとりごと
第13話 外廷勤務
12月27日(金)放送分
小説投稿サイト「小説家になろう」などで人気のライトノベルが原作のテレビアニメ「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」が、7月5日からTOKYO MXほかで放送される。交通事故に巻き込まれた男が、異世界で自動販売機の姿に生まれ変わるという奇想天外な設定の話題作で、アニメでは声優の福山潤さんが、主人公の自動販売機・ハッコンを演じる。自動販売機を演じる上で「正直、正解はわからなかったです」と語る福山さんに収録の裏側を聞いた。
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まず、タイトルを聞いた時、「いくところまでいったな」と思いました(笑い)。新しいジャンルのモノは作られて行く先に進めば進むほど特異点みたいなものが出てくるじゃないですか。「こういう作品ができるくらい、このジャンルは普及したんだな」と。その時は、まさか自分が作品に関わるとは思っていませんでしたが(笑い)。
僕は新人の頃「黒板消し」と「玄関マット」を演じていたので、そのころに戻った気分でした(笑い)。
正直、正解は分からなかったです。ハッコンの場合、会話によるコミュニケーションはほとんどなく、モノローグがメインなんですよね。そう考えたら、前世である「自動販売機好きの青年」の普通のところを意識するのがいいのかな、と思いました。彼に突出したキャラクター性を持たせてしまうと「迷宮に動かない自動販売機がいる」というぶっ飛んだ部分が殺されてしまいそうですからね。タイトル名とハッコンというキャラクター性を考えつつ、プレーンに演じられたと思います。
根幹となる演技プランの修正などはありませんでした。こちらとしては「無味無臭のものを持っていこう」という感覚でアフレコに臨みました。演技を出した上で「作品のテイストや周りに合う、合わない」を判断していただこうと思いまして。普段の収録の場合、僕が元々やりたいと思っている方向性を提示して、やりすぎなら収めていき、OKなら「どこまでなら大丈夫かな」と調整していくんです。でも今回は「キャラクターのしゃべり方や声を変にいじらないほうがいい」という感覚はありましたね。「いらっしゃいませ」や「ざんねん」などの定型文はともかく、普段のしゃべりを電子音っぽくしたららどうかな? しかし生声にしすぎても……などと考えましたが、そのあたりのあんばいが一番難しかったです。ストーリーはともかく、お芝居の中心はあくまでハッコンの周りにくる人たち、というふうに考えました。
コロナシフトの分散収録ではありましたが、メインで絡むキャスト同士の掛け合いはかなりの割合でできました。定型文は別途収録して同じモノを使うのですが、台本上は普通にせりふとして書かれているので演(や)りたくなるのですが、そこは自重しました(笑い)。
大変だったのは、彼の単調な定型文のコミュニケーションにしっかり反応しなければならない、ラッミス役の本渡(楓)さんだと思います。こちらはラッミスのせりふにモノローグで受け応えられるので問題はないのですが、実際にラッミスに聴こえるのは定型文だけ。なので「難しいことをしているのは、あなたのほうなんだよね……」と、ちょっと申し訳ない気持ちになりました(笑い)。
ラッミスはとてもいい子で、ほかにも魅力的なキャラクターがたくさんいるのですが、個人的には熊会長が気になります。熊の姿をして、普通にそこにいますし、彼からは何かすごいものを感じます(笑い)。
「自動販売機になってしまった彼がどのように生きていくのか?」というテーマの話で、異世界転生ものの“お約束”がたくさんあります(笑い)。ファンタジー世界に、令和でも活躍する自動販売機が持ち込まれたら、人々がどれくらい幸せになるかも感じていただきたいですね。
「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」は、昼熊さんのライトノベルで、スニーカー文庫(KADOKAWA)から刊行されている。コミカライズが「月刊コミック電撃大王」(同)で連載中。交通事故に巻き込まれた男が、異世界で自動販売機の姿に生まれ変わるという奇想天外な設定が話題となっている。アニメは秋田谷典昭さんが監督を務め、Studio五組、AXsiZが制作する。
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