名探偵コナン
#1147「張り込み4」
12月28日(土)放送分
人気アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」のシリーズ最新作となる「劇場版PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」(塩谷直義監督)が、5月12日に公開された。2012年にテレビアニメ第1期の放送をスタートした同シリーズは昨年、10周年を迎えた。今作では、主人公・常守朱と人気キャラクターの狡噛慎也らが事件に立ち向かう。テレビアニメ第1期から朱を演じてきた人気声優の花澤香菜さんにとって、朱は「すごく大事な存在」になっているという。花澤さんに「PSYCHO-PASS サイコパス」、朱への思い、10年の自身の変化について聞いた。
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「PSYCHO-PASS サイコパス」は、巨大監視ネットワーク・シビュラシステムにより人の心理状態などを数値化し、管理できるようになった近未来の高度情報化社会を舞台に、厚生省公安局の刑事の活躍を描くSFアニメ。「PROVIDENCE」は、2019年公開の劇場3部作の一つの「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐(おんしゅう)の彼方に_」と、同年放送されたテレビアニメ第3期の間のストーリーが描かれる。
テレビアニメ第3期で朱は捕らわれの身となっていたが、「PROVIDENCE」ではその経緯が明らかになる。公安局統括監視官となった朱が、外国船舶で起きた事件をきっかけに、かつて公安局から逃亡した狡噛と再会する。人気キャラクターの宜野座伸元の活躍も描かれ、ファンにとって胸が熱くなる展開が数々ある。花澤さんも台本を読んで、胸が熱くなったという。
「第3期の時、監督から『次(PROVIDENCE)は朱ちゃんの話です。拘留されている経緯を描きます。でも、なぜ捕まったのかは、今は教えません』というお話がありました。だから、今回、台本を読むまで詳しいことは知らなかったんです。台本を読んで、これは面白い!となりました。久しぶりに、狡噛さんと朱ちゃんのやり取りをがっつり見られますし、宜野座さんは、狡噛さんがいることによって感情があらわになって、取り乱しているのもいいんですよね。宜野座さん、朱ちゃんの関係性も濃くなっていて、一係のみんなが朱ちゃんに対して信頼を寄せています。チームワークのよさを感じました。これまでのストーリーといろいろつながっているところもあって、すごく胸が熱くなりました」
テレビアニメ第1期で厚生省公安局刑事課一係の監視官だった朱は危なっかしいところもあったが、成長していき、「PROVIDENCE」では公安局統括監視官として登場する。
「第1期の頃は本当にひよこのようでした。社会人1年目で、優秀ではあるけれど、周りのことが見えていないところもあって、いろいろなことを経験していきます。第2期になると、自分で一係をまとめ上げなきゃいけない!と頑張っていました。今回は、精神的には安定しているけど、感情をあまり表に出さないというところに落ち着いたんでしょうね。自分が一番しっかりしなきゃいけないでしょうし、狡噛さんが現れたことで、より冷静でいないといけない。狡噛さんと宜野座さんがバチバチしていますし。お芝居もそこを意識して、感情を抑えめにしようとしました。抑えられないところも出てきちゃうんですけど。そんな中で唯一、雑賀(譲二)先生と話している時だけは、彼女も素でいられるんですよね。雑賀先生は朱ちゃんのことを信頼してくれていることが伝わってくるんです。雑賀先生が、狡噛さんに朱ちゃんの話をしている時も子供!?というくらい愛情を感じます」
朱、狡噛ペアの久しぶりの活躍を見られるのもファンにとってうれしいところだろう。
「懐かしい!という感じでいた。朱ちゃんもそう感じているんじゃないかと思います。でも、狡噛さんは素直じゃないんですよね。行間を読まなきゃいけない。この感じも懐かしいです。やっぱり朱ちゃんにとって狡噛さんが一番のパートナーなんだと思います。私もこのやり取りが見たかった!と感じていました。収録は、狡噛さん(関智一さん)と雑賀先生(山路和弘さん)と3人でできて、皆さんがいてくださることで、前に進めました」
◇朱を演じる挑戦 ずっと変わらなきゃ!と思いながら
朱は成長し、変化していくキャラクターではあるが、変わらない芯もある。花澤さんは芯の部分も意識しながら朱を演じてきた。
「誰に対しても誠実に向き合っているというところは、変わっていないですね。考えを重ね、自分の中の正義を貫いているところは、変わらないです。いろいろなことがあっても、擦れません。一貫して朱ちゃんは朱ちゃんなんです。心も広いです。私だったら『狡噛さん、どういうこと!』って言っちゃいます(笑い)。(霜月)美佳ちゃんにしても腹を立てない。美佳ちゃんも成長しましたよね。相変わらずパンチが効いているところもありますが(笑い)」
花澤さんにとって10年以上にわたって演じてきた朱は特別な存在になっている。
「朱ちゃんに出会ってなかったことを考えたくないくらい、すごく大事な存在になっています。声優として、朱ちゃんみたいな警察組織のキャラクターの役、たくましく育っていくような役は挑戦でした。あの時期。苦しいこともありましたが、朱ちゃんの気持ちに寄り添い、自分も朱ちゃんと同じ経験をした感覚になるくらい、のめり込んでお芝居をしていました。演じていない時期も、朱ちゃんに恥ずかしくない生き方をしたい!という気持ちがあります。狡噛さんみたいに、ずっと見てきてくださって、助けてくださる先輩、スタッフさんたちに、改めて感謝しています」
テレビアニメ第1期が放送された2012年から花澤さん自身も変化してきた。
「第1期の私が、今回の朱ちゃんを演じるのは無理です。ここまで演じてきたからこそできるものだと思います。変わらない部分もありつつ、10年で変化していると感じています。ずっと変わらなきゃ!変わらなきゃ!と思いながら生きていて、今も思っているんですけど、そこはあまり変わっていないかもしれません」
花澤さんは数々の人気作に出演する“超”が付くほどの人気声優だ。テレビアニメ第1期が放送された2012年の時点でも人気声優ではあったが、この10年で大きく成長したという。
「現場での立ち振る舞いも変わりました。第1期の時は先輩ばかりでしたし、これまで言ったことがないようなせりふもあって、のめり込まないとできないところもありました。自分のことに集中しようとしていて、なかなか皆さんとコミュニケーションを取ることができませんでした。余裕がなかったんです。関さんや野島さん(宜野座役の野島健児さん)たちが話しかけてくれて、やっと和んでいたんです。第2期もそんなにうまく立ちまわれていなかったと思います。作品に関わる皆さんがリラックスして取り組めるように……と考え、立ち振る舞えるようになってきたのは最近です」
「PROVIDENCE」は10年以上続く「PSYCHO-PASS サイコパス」の集大成となる作品だ。
「みんなのチームワーク、信頼関係が熱いですし、狡噛さんと朱ちゃんの関係も描かれ、第3期につながる大きな事件が起こります。その中心に朱ちゃんがいます。朱ちゃんをぜひ見守っていただきたいです。本当に面白いものになっていので、みなさんに早く見ていただきたいです。それから、この映画を見るためにこれまでの作品を見直さなきゃ!と焦る方もいらっしゃるかもしれませんが、この映画を見てから第1、2期を振り返り、第3期を見ると、味わいが変わってくるはずです。そして、また劇場に行きたくなる……と幸せなループを楽しんでいただけたらうれしいです」
ネタバレになるため、詳細は書けないが、特にラストシーンの花澤さんの演技に圧倒されるはず。
「最後のシーンは唯一、具体的なディレクションがありました。いろいろな感情が入り交じって出てきた声です。監督からは『朱ちゃんに掛かっているんで』とお話がありました。プレッシャーをかけてくるんですよ(笑い)」
「PROVIDENCE」には、花澤さんの「PSYCHO-PASS サイコパス」という作品と、朱への思いが詰まっている。何度も見て“幸せなループ”を楽しんでほしい。
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