ちいかわ
第233話 黒い流れ星・後編(12)
1月7日(火)放送分
荒木飛呂彦さんの人気マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」の第6部が原作のテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」。第32話「ヘビー・ウェザー その3」では、主人公・空条徐倫、ナルシソ・アナスイらと共に戦ってきたウェザー・リポートの最期が描かれた。ウェザー・リポートを演じる梅原裕一郎さんに役に対する思いや、収録の裏側を聞いた。
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「ジョジョの奇妙な冒険」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)1987年1・2合併号で連載が始まった人気マンガ。数世代にわたる個性的な悪人たちとの戦いを描いた壮大なストーリーや独特の擬音を用いた表現、独特な立ちポーズなどが人気を博している。原作の第6部「ストーンオーシャン」はシリーズ初の女性主人公で、空条承太郎の娘・空条徐倫が、無実の罪で刑務所に収監され、脱獄しようとする。第25話~最終話となる第38話が今年1月6日からTOKYO MXほかで放送中。
大学生時代に「ジョジョの奇妙な冒険」のテレビアニメの第1シーズンを見ていたという梅原さんは「ストーンオーシャン」に「不思議と運命めいたものを感じる」と話す。
「アニメ『黄金の風』が放送されている時に、同じ事務所の先輩の鳥海(浩輔)さんに『この先もジョジョがアニメ化するなら、梅ちゃんはウェザーだな』と言われたことがあったんです。その後、『ストーンオーシャン』のオーディションを受けるタイミングで、原作を読んだのですが、『あれ(内容を)知っているな』と。大学生の時、初めて読んだ『ジョジョの奇妙な冒険』が、原作第6部の『ストーンオーシャン』だったんです。『あの時読んだのが6部だったんだ』と気付いてびっくりしました(笑い)。ウェザー役でオーディションを受けること自体うれしかったのですが、『これを外したら恐らくジョジョには出られないだろうな』なんて思っていました」
ウェザー・リポートは、序盤では過去の記憶がほとんどないミステリアスなキャラクターとして登場した。その後、ウェザー・リポートがエンリコ・プッチ神父の双子の弟、ウェス・ブルーマリンであることが明かされ、ウェザーはウェスであった頃の記憶を取り戻す。梅原さんは、記憶を取り戻す前のウェザーを演じる際も「心根の優しいウェスを忘れずに」と収録に臨んでいたという。
「最初は、情報が何も分からない謎な男という感じで登場するので、何を考えているか分からないような、違和感がある形で登場できたらいいなと考えていました。ただ、過去のウェスである時がウェザーの本質だと思うので、優しい部分、心根のいい青年だったという部分をどこかで忘れずに。徐倫と話している時は、素っ気なく感じるようなせりふ回しが多い中でも、どこか面倒見の良さを出せたらいいなと。序盤は特に気を付けていました」
収録が始まった頃は緊張していたという梅原さんだが、「バトルシーンになると、本当に緊張してる場合じゃないんですよね。勢いや熱量で押し切らなきゃいけない部分があるので」と、現場の熱さを語る。中でも、アナスイ役の浪川大輔さんと共に挑んだエピソード「自由人の狂想曲(ボヘミアン・ラプソディー)」の収録が印象に残っているという。
「アナスイが実況中継のように、思ったこと、起こっていることを全部説明してくれるので、それを聞きながら隣でウェザーを演じるのはすごくやりやすかったです。もし一緒にできなかったら熱量の差が出てしまっていたかもしれないので、一緒に録(と)れて本当によかったです。『ストーンオーシャン』の収録はスピーディーに進んでいくのですが、短い時間の中で全力で汗をかきながら二人で叫びまくる。部活動をやっているような気持ちよさ、爽快感がありました」
当初は、ウェザーを演じる上で声を張ることに迷いもあったという。
「原作にもあるようなウェザーのしゃべり方のままバトルシーンを演じた方がいいのか、それともウェザーなりに声を張った方がいいのか。あんまりやりすぎるとキャラがぶれてしまうかな?とも考えていたのですが、序盤の収録で『バトルシーンは声を張っていいです』と言われたので『あ、大丈夫だ』と。ウェザーだからといってあまり声を張らずにやっていたら、作品のテンポ感が悪くなってしまったかもしれない。その辺の調整はなかなか難しくはありました」
ウェザーの記憶が戻り、プッチ神父の妹・ペルラがウェザーの恋人であったこと、ペルラが自ら命を絶ってしまったことが明らかになる。
「原作の中でもかなりつらいというか、悲惨な話です。やはりウェスの怒り、憎しみを演じている時はつらくはあったのですが、同時に爽快感もあるというか。ここまでちゃんと過去を描いてもらって、キャラクターを演じられて、本当にうれしいなと思いました。その頃には、プッチ神父役の関(智一)さん、浪川さんと3人で録ることも増えてきて、2人の熱量に追いついていかなきゃと必死な部分もありました。正直、次の現場のことはあまり考えず『喉が潰れてもいいや』ぐらいの気持ちで集中する。それがすごく楽しかったですね」
梅原さんはウェザーを演じることで、自身が目標としていた「“渋さ”をつかむことができたのではないか」と感じているという。
「ここ数年、自分よりも年齢が一回りぐらい上の役ができたらいいなという思いがあって、試行錯誤していたんです。そんな中でウェザーという役をいただいて、多少なりとも自分の中で何かがつかめたんじゃないかと。例えば、声を張るせりふでも、キャラクター感を維持したまま張らなければいけない。どうしても声を張るとキーが上がったりして年齢感が下がってしまいがちなのですが、何とかキャラをキープしつつ、年齢感も下がらないように叫ぶということを試行錯誤できたのは、かなり大きかったなと思います」
特に思い入れが強いのは、ペルラが自ら命を絶った時、ウェザーが放った「なぜオレを死なせてくれない」というせりふだ。
「ウェザーが世の中の全てを恨んでいる、憎んでいるという感情があのせりふに表れていますし、演じる時もウェザーの気持ちが痛いほど分かって、共感できる部分が多かったです。ウェザーは、怒りの感情がある時も自分を冷静に見ている部分があって、能力が暴走し始めて、自分が死ななければ暴走が止まらないという時もアナスイに『オレを殺せ』と言える。自分の始末も自分で決められるというところが格好いいですし、大人だなと。渋みがあるキャラクターだと思います」
ウェザー亡き後、徐倫たちはさらなる苛烈な戦いに挑むことになる。最後に今後の見どころを聞いた。
「今アニメを見ていただいている方は無念な思いがあるかもしれませんが、ウェザーが今まで戦ってきたことが報われるシーンがあります。無駄ではなかったと。僕個人としては、アナスイの『ウェザーはすでに救われていたんだ』というせりふにあるように、死ぬ前の何日間はウェザーは幸せだったと思っています。ウェザーは気持ちも意志も徐倫に託して、彼女が戦ってくれるだろうと信じていると思うので、見ている方も期待して見ていただきたいです」
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