舞いあがれ!:“朝陽”少年を演じる朝ドラの常連子役の素顔 五島の「かんころ餅」が好物に?

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第58回(12月21日放送)の一場面(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第58回(12月21日放送)の一場面(C)NHK

 福原遥さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第12週(12月19~23日)では、長崎・五島列島の祥子ばんば(高畑淳子さん)の家に移住体験のため訪れた少年、朝陽(又野暁仁君)が登場。舞(福原さん)や貴司(赤楚衛二さん)らとふれあいながら、閉じていた心を次第に開く様子が描かれた。朝陽を演じた又野君は朝ドラ出演4作目となる常連。撮影エピソードや素顔などについて、制作統括の熊野律時(くまの・のりとき)さんに聞いた。

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 ◇朝ドラ4作目で演じるのは“生きづらさを抱えた少年”

 又野君は2013年2月生まれの9歳。これまで3作の朝ドラに出演している。「スカーレット」(2019年後期)ではヒロイン喜美子(戸田恵梨香さん)の息子、川原武志の子供時代、「おちょやん」(2020年後期)ではヒロインの友人、洋子(阿部純子さん)の息子の若崎進太郎、「カムカムエヴリバディ」(2021年後期)では「なあなあ、お兄ちゃんとお姉ちゃんアベックなん?」と、るい(深津絵里さん)と錠一郎(オダギリジョーさん)に話しかける野球少年として登場した。

 又野君演じる朝陽は、第58回(21日放送)で初登場すると、「おなかすいた。お菓子食べる」と祥子の家の玄関でいきなり告げる。祥子がサツマイモで作った「かんころ餅」を用意するが、朝陽は「いらない。変な色。お菓子じゃないし」と嫌がって食べない。

 やがて朝陽が五島の小学校に通う日がやってくるが、「嫌だ! 行かない!」と玄関でだだをこね、舞が「朝陽君、ええ学校やで。窓からきれいな海が見えてな……」と伝えるも、朝陽は「行かないって言ってるじゃん!」と室内に引っ込んでしまう。

 その後も、祥子の家の縁側で南天の実を並べ一人遊びをする朝陽。それが星座を表していることを知った舞は、朝陽のために双眼鏡を用意してあげたり、五島の「星空クラブ」に通うことを勧めたりと、なんとか朝陽が心を開けるように努める。

 第60回(23日放送)では、貴司や舞から自分の気持ちをノートにつづることを提案された朝陽は、書いてみることによって気持ちを伝えることができ、「星空クラブ」にも通えるようになる。一度行けると自信がついたのか、自らコートを着て、「星空クラブ行こ!」と言い出し、周囲を慌てさせる。また、苦手だった「かんころ餅」を「うまい!」と言って食べ、笑顔を見せていた。

 SNSでは「朝陽くんが毎日成長してて、見ててほんと安心します」「朝陽くんも少しずつ……前に向かって進んでいますね」といったコメントが上がった。

 ◇素顔は「朗らかな可愛らしい少年」

 朝陽役に又野君を抜てきしたことについて、熊野さんは「演じるのが難しい役なので、これまでいろんな形で(朝ドラに)出演していただいていて、非常にお芝居が上手だなという印象があった又野君に、今回もぜひお願いしたいなと」と起用理由を説明する。

 第12週で朝陽というキャラクターを登場させた理由については、「舞が、生きづらさを抱えた人だったり、普通といわれるところからこぼれおちそうな人だったり、しんどい思いをしている人にちゃんと目を向けていけるヒロインであってほしいというのが、このドラマ全体の大事な要素の一つ」といい、「舞が立ち止まっているときに、生きづらさを抱えている少年と出会うことで、(舞の中でも)気づくことがあったり、一緒に何かをして大事な時間を過ごしたことをきちんと受け止められるようなエピソードとして入れられたらいいなということで、朝陽という存在を描いています」と語る。

 又野君の素顔は「朗らかな可愛らしい少年」だといい、「撮影現場も楽しんでくれていますし、お芝居をすること自体も楽しんでいて、いつもにこやかで、面白がってやってくれているので、すごくすてきだなと」感じたという。

 祥子ばんばを演じる高畑さんも「感心していましたね。お芝居もすごくやりやすいと言っていました」といい、「最初の不機嫌な感じからだんだん変わってきて、最後はかんころ餅を喜んで食べている。その変化がビビッドに高畑さんたちに響いて、すごく自然な感じでお芝居ができたと。とてもいい形で又野君の素朴で素直な感じが朝陽君にはまって、お芝居はすごくやりやすかったと言っていました」と顔をほころばせる。

 ちなみに、最初に朝陽が「お菓子じゃないし」と拒否した「かんころ餅」は、サツマイモを薄くスライスして天日干しした「かんころ」を、餅米に混ぜてつきあげて作る五島に古くから伝わる郷土食。制作陣によると、又野君は「今年のクリスマスには、かんころ餅が食べたいと言っていたほど好きになった」という。

 五島での朝陽少年との出会いが、将来に不安を抱える舞の気持ちにどんな変化をもたらすのか。これからも、周囲の人たちと手をたずさえながら生きていく舞の物語を見守っていきたい。

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