劇場版アニメ「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の4Kリマスター版の舞台あいさつ付き上映会が11月22日、シネマシティ シネマ・ワン(東京都立川市)で開催され、山賀博之監督、渡辺繁プロデューサーが登場した。同作は、貞本義行さんがキャラクターデザインを担当したほか、庵野秀明さん、樋口真嗣さんらが参加した名作で、1987年の公開から35周年を記念して4Kリマスター版が制作された。山賀監督と渡辺プロデューサーが同作の音響について語った。
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「王立宇宙軍 オネアミスの翼」には当時、既にベテランだった故・田代敦巳さんが音響監督として参加した。山賀監督が、田代さんにオファーしたといい「当時は素人だったので、音響監督は何をする人なんだろう?と分かっていなかった。(アニメの)『銀河鉄道の夜』を見て、こういう音をよしとする人と一緒に仕事がしたいと思った。効果音の使い方などで世界観を作っている。音がリアルなんです。田代さんに『やってもらえませんか!』とお願いしました。田代さんは、脚本を読んで、訳が分からなかったらしいんです。分からない、このままでは年寄り扱いされる……と思って、やっていただけたそうです」と明かした。
同作は、豪華クリエーターが作り上げた“伝説”のアニメではあるが、公開当時、24歳だった山賀監督をはじめ、参加したスタッフの多くは知る人ぞ知る存在で、一般的には無名だった。彼らはその後、「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」などアニメ史に残る名作を生み出すことになる。
一方で、田代さんらベテランも参加した。山賀監督は「伝説として若手だけで作ったと広まっているけど、大ベテランの方も含めていろいろなキャリアの方が参加しています。アニメはそこがフラットなのが面白い。この現場ではキャリアや年齢は関係なかった」と話し、渡辺プロデューサーは「『王立』を作っているスタッフが若すぎて、あいつらは何だ?と見ている人もいた。味方になってくれた大人が田代さんだった。それが『トップをねらえ!』のタシロ艦長(タシロ・タツミ)になった」と語った。
4Kリマスター版は音響も山賀監督の理想に近い形に仕上がったようで「アフレコは切り貼りするから、いい音響設備で流れると、切り貼りした感じが出てしまう。これはマズいとなった。低音を上げることで、切り貼り感が減りました。少しだけ低音を上げたので、迫力も増しています。上映当時は入れた音が出なくて、あれ!?となっていたんだけど」と話した。
「王立宇宙軍 オネアミスの翼」は、ただ漠然と毎日を過ごす宇宙軍の兵士シロツグが、ある少女との出会いをきっかけに宇宙パイロットに志願し、幾つもの壁を乗り越え、宇宙を目指す……というストーリー。公開35周年を記念して、4Kリマスター化され、BDボックスも発売されることになった。
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