池田秀一:「ONE PIECE」シャンクスへの思い 「助かった」出会いの喜び

「ONE PIECE FILM RED」でシャンクスを演じる池田秀一さん
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「ONE PIECE FILM RED」でシャンクスを演じる池田秀一さん

 尾田栄一郎さんの人気マンガ「ONE PIECE(ワンピース)」の新作劇場版アニメ「ONE PIECE FILM RED」(谷口悟朗監督)が8月6日に公開される。タイトルの「RED」の通り、人気キャラクターの赤髪のシャンクスに焦点が当たり、オリジナルキャラクターとしてシャンクスの娘・ウタが登場することも話題になっている。テレビアニメがスタートした1999年から約23年にわたってシャンクスを演じているのが、「機動戦士ガンダム」の“赤い彗星(すいせい)”シャア・アズナブル役などでも知られる池田秀一さんだ。池田さんにシャンクス、「ONE PIECE」への思いを聞いた。

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 ◇結構大変 最初は手探りで

 「ONE PIECE」は、手足などがゴムのように伸びる麦わら帽子の青年・ルフィが、海賊王を目指して仲間と共に大海原を冒険する姿を描くマンガ。1997年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まり、2021年1月には1000話に到達。今年7月で連載25周年を迎え、全世界のコミックスの累計発行部数は4億9000万部以上を誇る。テレビアニメが1999年10月にスタートし、2021年11月には第1000話に到達した。

 シャンクスは、赤髪海賊団の大頭で、ルフィにとって憧れの人。バギーと共にゴール・D・ロジャーの船で船員見習いをしていたが、今や四皇の一人にまで上り詰めた。第1話から登場する人気キャラクターだ。池田さんにとってシャンクスは大きな存在になっているという。

 「シャンクスと出会い、助かりましたし、うれしかったです。シャンクスはエリートじゃなく、たたき上げなんだろうと、最初にそう感じたんです。僕は、エリートの役が多くてね。『ONE PIECE』のお話をいただいた時、“赤髪のシャンクス”というので、また赤か……と実は思っていたんですよ。エリートっぽいのかな?と思ったけど、全然違って、これは面白いな!となったんです。シャンクスは、血が通っているといいますか、温かみがあるじゃないですか。それまでは、冷たい役が多かったですし。個人的に、エリート役にちょっと飽きていた時期だったんです(笑い)」

 池田さんにとってシャンクスを演じることは挑戦でもあった。

 「実際に演じてみると、結構大変だったんですよ(笑い)。やったことがないような役ですし、手探りでやらせていただきました。でも、楽しかったですよ。これは面白いな!と思ったら、すぐに(本編に)出なくなっちゃってね。思い出した頃に出てくる。ルフィには、思い出してくれよ!と思っているんですよ」

 シャンクスは決して出番が多いキャラクターではない。しかし、登場すると圧倒的な存在感、威厳を見せつける。人間味もあり、温かみを感じるのは、池田さんの演技によるところも大きい。

 「大変ですよ。だってキャストの皆さんがすごいじゃないですか。その上をいかないといけないので大変なんですよ。最近のシャンクスは、ちょっと格好よくなりすぎじゃない(笑い)。昔はもうちょっと素朴でしたよね。初めて登場した時、宴(うたげ)だ!としょっちゅう飲んでるな……と思っていたんですよ。僕も酒が好きだから、キャスティングされたのかな?と(笑い)。もちろん今のシャンクスも好きですよ」

 ◇娘・ウタに対する思い メッセージを込めて

 「ONE PIECE FILM RED」はタイトルの「RED」の通り、赤髪のシャンクスに焦点が当たる。池田さんは「テレビシリーズから始まってから23年、『FILM RED』に巡り合えてよかったです。テレビシリーズから2、3年ではこうはいかないはずです」と語る。「ここまでシャンクスが活躍するのは、これまでのアニメ、映画にはなかった」と胸を躍らせた。

 「『今度の(シャンクスが)映画に出るみたい』という話は聞いたのですが、回想シーンにちょっと出てくるのかな?と思っていたんです。ちょっと出てきて、あばよ!といなくなる感じで、今回も楽ができるなと思っていたんです(笑い)。なので、超特報映像でラストにシャンクスの顔が出ていて、慌てました。『ひょっとして……』と聞いたら『ひょっとします』という話だったんです」

 「FILM RED」は、世界中が熱狂する歌姫・ウタがライブで初めて公の前に姿を現すことになる。素性を隠したまま発信するウタの歌声は“別次元”と評されるほどで、歌声を楽しみにしているルフィ率いる麦わらの一味をはじめ、世界中のファンが会場を埋め尽くす。そんな中、ウタがシャンクスの娘であると発覚する。「ONE PIECE」の初のアニメ「ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック」で監督デビューした谷口監督が、約24年ぶりに「ONE PIECE」の監督を務めることも話題になっている。

 「本がいいですよね。台本を読む前にシナリオも読んだのですが。今の社会の問題を含んでいて、それだけがテーマではありませんが、いろいろなものが含まれている作品になっていると感じました。収録の2、3週間前に監督とは2時間くらいディスカッションをさせていただきました。僕もまだ深く内容を知らない時でした。監督に丁寧に説明していただき、助かりました」

 ウタは、声優の名塚佳織さんと歌い手のAdoさんがダブルキャストを務める。名塚さんがウタのせりふ、Adoさんがウタの歌唱パートを担当する。ウタとシャンクスの関係も気になるところで、池田さんの演技が注目される。

 「娘と父親という関係があり、親子の感情もあるのですが、少し距離を置こうとしました。これまでの『ONE PIECE』の物語にはこだわらず、新作と思って演じさせていただいたところもあります。おそらく、監督も新しいものを作ろうとしていて、収録の時にもそれを感じていました。今回、この作品でメッセージとして何を送ることができるのかな?を考えました。僕のメッセージが何かっていうのは、そんな大した問題じゃないんですけれど、何かを感じていただければいいなと思っています」

 池田さんが「シャンクスはルフィに『この帽子をお前に預ける』と託しますが、今回の映画でもウタに対して同じようなものを感じるところがありました。収録の時は、特別意識していたわけではないのですが、映像を見て、こういうことだったんだ……と感じたんです。計算せずに、無意識のうちにやっていたのですが、それがよかったんです」と話すように「FILM RED」にはさまざまなメッセージが込められている。池田さんの熱い思いを感じてほしい。

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