ファイトソング:恋愛以外でも「“一緒に生きていく人”は作れる」 ドラマPが語る“あえて恋”の理由

ドラマ「ファイトソング」の一場面 (C)TBS
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ドラマ「ファイトソング」の一場面 (C)TBS

 女優の清原果耶さん主演の連続ドラマ「ファイトソング」(TBS系、火曜午後10時)。同局の“火10”枠といえば、「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年)、「恋はつづくよどこまでも」(2020年)など、数々のラブコメディーが放送されてきたドラマ枠だ。しかし、「ファイトソング」の武田梓プロデューサーは、「恋愛以外でも、“一緒に生きていける人”を作れるドラマを描きたい」という思いがあったと語る。どういう狙いがあったのか話を聞いた。

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 ◇清原果耶に込めた期待 「説得力があるストーリーにできるんじゃないかと」

 ドラマは「ひよっこ」などを手がけた岡田惠和さんのオリジナル作品。耳が聞こえなくなるかもしれない病気を抱えたヒロイン・花枝(清原さん)、落ちぶれた一発屋の変人ミュージシャン・芦田(間宮祥太朗さん)、ヒロインをいちずに思い続ける幼なじみ・慎吾(菊池風磨さん)の不器用な3人の姿を描く。

 まず、清原さんに主役をオファーした理由について「お芝居がすごく上手」であることは大前提としつつ、「今までの火曜10時枠(のドラマ)には、ラブコメのいわゆる“テンプレート”的な流れが結構あったと思うのですが、いい意味でそういう流れを裏切ってくれそうだと思いました。清原さんを主役に据えることによって、説得力があるストーリーにできるんじゃないかと期待していました」と打ち明ける。

 また「清原さんに主演していただくにあたって、最初からそう決まっていたわけではないのですが、何かを“抱えている”役がいいなと思っておりまして、(話し合いを重ねて)耳が聞こえなくなるかもしれない病気という設定にたどり着きました」と話す。

 続けて「そして、その相手役としてどういう人がいいのかということになったときに、ミュージシャンの人がいいんじゃないかということになりました」と説明。こうして、音楽を題材にする方針が決まっていったといい、「主人公の設定も、相手役の設定も特殊なのですが、音楽に背中を押されるみたいな経験は誰にでもあるのかなと思っていて、ぜひ音楽を題材にできればいいなと思いました」と語る。

 ◇ギターではなくピアノ弾き語りだった理由

 1月11日放送の第1話では、ハウスクリーニングの仕事に携わる花枝が、芦田の自宅を初めて訪問するシーンが描かれた。花枝は、力を出したいときに聴く楽曲「スタートライン」の作者が芦田であることをそこで知る。芦田が花枝の前でその曲を弾き語りしてくれることになり、花枝はくやしい過去の出来事を思い出しながら、大粒の涙を流す……というシーンだった。

 武田さんは、同話の弾き語りシーンは「すごく描きたかった」と語る。「間宮さんはギターが得意なので、ギターで歌っていただくことも考えたのですが、ピアノだと女の子に背を向けて演奏することになって、それがすごくいいなと思っていたんです。相手の顔を見ずに、不器用な男性がちゃんと背中を押してあげるというか、語りかけるみたいな場面が作れるなと思っていました」と振り返った。

 ◇「ファイトソング」は何ドラマ? “一緒に生きていく人”への思いも

 「ファイトソング」は恋愛ドラマ? それとも人間ドラマ? 武田さんは一つのジャンルに決めることは「難しい」としつつ、強いて言うならば「ヒューマンラブコメディー」だと語る。

 「花枝は、恋をしなくても生きていけるといえば、生きていけるような女の子。でもそんな彼女が、自ら積極的に恋愛をしていくというところが、このドラマの狙い。私自身、それがすごくいいなと思っておりまして。『結婚しなきゃ』とか、『恋をしなきゃ』と強く思うヒロインではなくて、別に恋をしなくても、普通に人生を歩んでいける子が、あえて『恋をしてみたい!』とちゃんと思って、恋に向かっていくところがいいなと思っているんです」

 一方、「恋愛以外の部分もしっかり描かないと(いけない)」と話す武田さん。「恋愛以外にも向き合うべき“壁”を描くからこそ、恋という、“なくても生きていけるもの”がすごく輝いて見えるところがいいなとも思っています。それを踏まえると、本作は『ヒューマンラブコメディー』ということにしてはいるのですが、やっぱりなかなか表現の仕方が難しいなと思っています」と打ち明ける。

 岡田さんと打ち合わせをしていく中で、花枝が児童養護施設で育ったという背景を入れる提案があった。「血がつながっている“家族”ではなく、“一緒に生きていく存在”を一つの焦点にして描けたらということになったんです」と話す。

 「慎吾もそうですが、“家族”というより、“一緒に生きていく人”みたいな表現が正しいような気がします。恋愛以外でも一緒に生きていける人を作れるというのは描きたいなとは思いました」

 最後に今後のドラマの見どころについて、「最後は見ている人たちがみんな幸せになれればいいなと思っていますし、見ている人だけではなくて、登場人物たちも、みんなが幸せになれるような結末にしたいと思っています。そこは楽しみに、そして安心してご覧いただければいいなと思います。大きく心が動くようなドラマにできればいいなと思っておりますので、ぜひ楽しみにしていただければ」と呼びかけた。

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