大友克洋:全集「OTOMO THE COMPLETE WORKS」で「出し惜しみせず全てお見せいたします」 第1回は「童夢」と「AKIRA」絵コンテ集

「OTOMO THE COMPLETE WORKS」メインビジュアル(C)2022 MASH・ROOM(C)1983 角川映画
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「OTOMO THE COMPLETE WORKS」メインビジュアル(C)2022 MASH・ROOM(C)1983 角川映画

 「AKIRA」などで知られるマンガ家で映画監督の大友克洋さんの全集「OTOMO THE COMPLETE WORKS」(講談社)の第1期の第1回配本が1月21日にスタートする。第1回は、マンガ「童夢」(2970円)、アニメ「AKIRA」の絵コンテ集第1巻「Animation AKIRA Storyboards 1」(4400円)をラインアップする。大友さんは「本当は収録したくなかった古い作品や実現しなかった作品、未完のものも出し惜しみせず全てお見せいたします」とコメントを寄せている。

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 3月の第2回配本はマンガ「BOOGIE WOOGIE WALTZ」、アニメ「AKIRA」の絵コンテ集第2巻「Animation AKIRA Storyboards 2」、5月の第3回配本はマンガ「ハイウェイスター」、シナリオ集第1巻「Scripts 1」、7月の第4回配本は、映像ディスク付きの「Animation AKIRA」、マンガ「さよならにっぽん」、9月の第5回配本はマンガ「Fire-Ball」、映像ディスク付きの「The Live Action 蟲師」、11月の第6回配本はマンガ「銃声」を予定している。

 ◇大友克洋さんのコメント

 長らく過去の単行本が絶版状態にあり、これまで各社から再販や選集出版のお話をいただきました。それなら自分の仕事をまとめた全集を自分の思うような形で作りたいと思い、本プロジェクトがスタートしました。自分でプロデュースするなら、自分が生きているうちにということになりますので、今のタイミングかなと。

 そして、どうせ出すならコンプリートワークスということで、全部をまとめてみたいと考えました。マンガだけでなく、アニメーションや実写映画などの仕事もやっていますし、イラストも描いてますし、原作の提供やシナリオなどもあるので、それらもひとまとめにしたいなと。

 これまでいろいろな人が全集を発表しています。例えば手塚治虫さんの場合、手塚さんはマンガ以外の仕事も多くされてるんですが、全集にはマンガしか収録されていません。それはその人の仕事の全集としては不完全なのではないかという気がしていました。もしかしたらシナリオ集なんかはあまり売れないのかもしれませんが、ひとまず形にはしてみたいなと思ってラインナップに入れています。

 マンガというのは、コンテンツとして非常に広い展開をします。

 アニメ化、実写化、小説化、ゲーム化やパチンコなど……。私の作品はパチンコの展開はないですが。そのように展開した部分でも、携わってきたものも全て含めた構成になる予定です。

 最近はパブリックアートなども手掛けているんで、自分の仕事もさらに多様化していますね。そのためになかなかマンガが描けていません。もちろん、これから描く作品、撮る映画などもあります。それらをどこまで含めて<全集>とするのか、実は現段階ではまだ決めていません。 とはいえ、どこかで確定しなくてはいけないですね。

 また、可能な限りにはなってしまいますが、 作品は制作順に時系列で収録していきます。

 そうすることで、作家としてどのように変化してきたかも追えるようになるので、本当は収録したくなかった古い作品や実現しなかった作品、未完のものも、出し惜しみせず全てお見せいたします。

 自分でも過去作品を見直すことはあまりないので、全て見るのはこの編集作業で初めてになると思います。ヘタすると忘れている作品もあるので、見直すと面白いですね。最初の頃から見ていくと、自分でも絵がうまくなっていく過程が分かります。描き方が変わっていったりテーマが変わっていったり、試行錯誤している様子も分かります。いろいろな見方ができるので、皆さんにも楽しんでいただけるのではないでしょうか。

 ◇編集部のコメント

 世界的なタイトルを次々に生み出す、マンガ家、イラストレーター、映像監督、シナリオライターなどのジャンルにとらわれない創作者の顔を持つ大友克洋氏。

 その創作とプロデュースのすべてを、 作者である大友克洋氏自身が時代順に俯瞰(ふかん)、総括、そしてリ=プロデュースするのが「大友克洋全集」です。

 それは多様な「全仕事」を収録した「作家・大友克洋」の底本ともなります。

 同時に、日本から世界中に衝撃をもたらした新しい表現方法の集積は、一人の作家のパーソナルな仕事集というだけでなく、1970年代から現代までのマンガ、アニメ、映像までをも含む、現代文化の冒険を楽しめる作品集とも言えるでしょう。

 時代によって何が生み出されたか。作家は時代に何を見て、考えてきたのか。そして作家は、次に何を試みていくのか。

 作品から発言までを網羅することで、作家としての進化を明らかにし、次の世代の創作者へその姿勢を伝えていく。この全集は作家自身が自らを「作品化」し、手触りも含むモノとして記録する、全く新しい全集となります。

(C)1988 マッシュルーム/アキラ制作委員会(C)2022 MASH・ROOM

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