松下洸平:「最愛」撮影現場で感じた役者業への思い 「大輝に負けない魅力がなければ続かない」

連続ドラマ「最愛」に出演する俳優の松下洸平さん(C)TBS
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連続ドラマ「最愛」に出演する俳優の松下洸平さん(C)TBS

 「松下洸平が好きなのか、大ちゃんが好きなのか分からなくなっている今日このごろ」。視聴者からそんな声が上がっているのが、連続ドラマ「最愛」(TBS系、金曜午後10時)に出演する俳優でシンガー・ソングライターの松下洸平さん。殺人事件の重要参考人となった実業家の真田梨央(吉高由里子さん)の初恋相手で、事件の真相を追う刑事・宮崎大輝を演じており、“大ちゃん沼”という言葉も登場している。「大輝を演じた僕自身にも、彼に負けない魅力が何かなければ続かない」と語る松下さんに、役者業への思いを聞いた。

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 ◇「絶対に結果を出さなければいけない」とプレッシャーをかけ…

 「最愛」は、真田梨央、宮崎大輝、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦新さん)を中心にしたラブサスペンス。「今季1番」「ここ数年No.1かもしれない」など絶賛の声が上がるなど、大きな注目を集めている。

 今作の新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督が手がけた、昨年放送の連続ドラマ「MIU404(ミュウ ヨンマルヨン)」(TBS系)の第2話にゲスト出演した松下さん。このチームの素晴らしさや過酷さを目の当たりにし、「俳優にとってかけがえのないことを経験させてくれる組」と感じたという。

 「3カ月このチームとご一緒できるのは、自分にとっては確実に大きな一歩になると思いましたし、そうしなければいけない。絶対に結果を出さなければいけない、と自分にかけたプレッシャーは、これまでの役よりもすごく多かったと思う」

 そんなチームからオファーをもらい、うれしさを感じたと同時に、相当な覚悟を持った。「それぐらい覚悟して臨まないとできない現場だし、逆にその覚悟を持って、絶対に結果を出すと思って芝居をすれば、必ず視聴者の皆さんは楽しんで見てくれるという確信もあった」と明かす。

 ◇「最愛」撮影で印象に残るのは、あの10秒

 松下さん演じる宮崎大輝は、15年前は陸上部に所属する期待のエースだった。面倒見のいい爽やかな青年で、寮夫の娘でいつも陸上部員たちを笑顔で励ましていた梨央に恋をしていた。持ち前の正義感から、警視庁刑事部捜査1課の刑事となり、梨央と15年ぶりに再会する……という役どころ。

 第5話(11月12日放送)では、梨央の乗った高速バスに、優(高橋文哉さん)が乗り込み、山尾(津田健次郎さん)から「面割りできたか?」と確認された大輝が、さまざまな思いをめぐらしつつも、裏返った声で「朝宮優です」と報告する場面が登場。この10秒間の松下さんの演技には、多くの視聴者が胸を打たれた。

 松下さん自身も一番印象に残っているシーンといい、「かなりきつかったですね」と話す。「(優のことを)もうこれ以上は隠しておけない、自分は黙っているわけにはいかないと天秤(てんびん)にかけられた状態で、いろんな画が浮かんだんですね、あのとき」と振り返る。

 「白川で同じ時間を過ごした9歳の優の声や、笑った顔が、あの一瞬でフラッシュバックしてきて……その気持ちを抑えて報告しないといけないのはすごくつらかったですし、その後も刑事の立場として、優を東京に移送していかないといけなかったところは、俳優としては俳優冥利に尽きるすばらしいシーンをいただいたなと思いましたね」

 松下さんの高い演技力には、視聴者から絶賛の声が上がっている。中でも、時々見せる切ない表情や、声の魅力にも注目が集まるが、松下さんは「(大輝の)性格的なことを考えても、結構サバサバして、何事にも突っ走るタイプの人間なので、あんまりのんびりしゃべらないようにして、ポンポンポンポンしゃべるように心がけているのと、あまり表情で芝居をしないように、あまり顔に出し過ぎないように心がけていますね」と裏側を明かす。

 ◇大輝の“汗くささ”まで伝えたかった

 大輝という役を、“この世界のどこかにいる人間”として見ている人に感じてほしかったという松下さん。「自分たちのことのように、『大輝と梨央、どうなるんだろう?』とドキドキしながら見てしまうなど、そのリアリティーをどこまで出せるか?というのがチャレンジだった」と振り返る。

 大輝がいつも着ているコートの匂いや、捜査1課の刑事として走り回る大輝の、「思っている以上に臭い」であろうスーツの匂い。そんな“汗くささ”まで、視聴者に伝わったらという思いで撮影に挑んできた。

 第1話では駅伝のシーンが登場したが、さまざまな角度から撮影するため、大輝が仲間にたすきを渡す場面を15回ほど撮影したという。常に走っていないと落ち着かないくらい走ったという松下さんは、「もちろん苦しかったですが、苦しみも役作りに生かせる」といい、「採用試験を受けて、捜査1課まで上りつめる大輝は、相当苦労があったはず。その苦労は、僕自身で味わえることはちょっとでも味わいたかった」と続ける。

 共演者やスタッフなど、人と関わることによって、役柄が広がっていくと感じた。台本を読んでいるだけではわからない、自身の中だけでは想像できなかった大輝の性格や細かい設定が、桑田役の佐久間由衣さんや、山尾役の津田さんと芝居をすることで見えてきたといい、「改めて芝居は一人ではできない、誰かと一緒に作っていくものなんだなと、『最愛』の現場で改めて痛感しています」と話す。

 大輝を演じたことについて「うれしいですし、感謝しかない」と言い切った松下さん。「大輝から学ぶことは多かったし、それを僕自身が裏切らないように。そして、時にめちゃくちゃとんでもなく裏切れるように、僕自身を面白がってもらえたらいいな」と力を込めた。謙虚さと大胆さが同居する“松下洸平の沼”は、大輝役を経てよりいっそう深みと魅力を増している。

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