佐藤健:満島ひかりから相手役に“抜てき”「ラブストーリーで声がかかるのはうれしい」 宇多田ヒカルの名曲をドラマ化

満島ひかりさん(左)と佐藤健さん
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満島ひかりさん(左)と佐藤健さん

 1999年に発売され大ヒットした宇多田ヒカルさんの名曲「First Love」と、その19年後に発表された「初恋」にインスパイアされたNetflixのオリジナルドラマFirst Love 初恋」(寒竹ゆり監督)が制作されることが12月3日、明らかになった。女優の満島ひかりさんと俳優の佐藤健さんがダブル主演を務めるラブストーリーで、2022年に配信される。同時に満島さん、佐藤さん、寒竹監督のクロストークも公開された。

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 「First Love 初恋」では、1990年代後半と、ゼロ年代、現在の三つの時代が交錯し、20年あまりにわたる忘れられない“初恋”の記憶をたどる一組の男女のラブストーリーが描かれる。寒竹監督が脚本も担当する。

 満島さんは、フライトアテンダントを目指すも不慮の事故で運命に翻弄(ほんろう)される野口也英(のぐち・やえ)、佐藤さんは、航空自衛隊のパイロットになるも、現在は別の道を進む、まっすぐな性格の並木晴道(なみき・はるみち)を演じる。

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 佐藤健さん お話をいただいたとき、正直、この座組みならなんでも面白くなるだろうって思いました。寒竹さんとは10代の頃に仕事をしていて、すごく印象に残っていた方だったので、またご一緒できることがうれしかったし、もちろん満島さんとの共演も。この2人と仕事がしたいと思ったんです。

 寒竹ゆり監督 うれしいですね。ありがとうございます。

 満島ひかりさん 私は、初めて八ケ岳にある監督の家に行ったとき、こたつで打ち合わせしたのをよく覚えています。脚本を読みながら、このシーンのこのお芝居できるかなと不安に思ったところがあって、その場で演じてみたんですよね。そうしたら寒竹さんが、ぽろぽろと泣き出して。私もこのプロジェクトに1年くらい関わっているけれど、寒竹さんは、何年も前から孤独に脚本を書いてきた。目の前で人(キャラクター)が動いたことで、ようやくこの物語が始まったんだなと、感動したことを覚えています。

 佐藤さん 僕も参加することになって「打ち合わせは、八ケ岳でやります」と連絡をもらって、えっ、八ケ岳ってどういうことだ?って。そのときはすでに、寒竹さん、満島さん、プロデューサーの坂本(和隆)さんは何度も打ち合わせをしていて、いいチーム感が出来上がっているようだったので、うまくなじめるかなと不安もありつつ行ってみると、まず最初に「寒竹ゆりお手製」のフルコースが出てきました。どれもぜんぶ超おいしくて。ああ、これが食べたくて、みんなここに来るのかと(笑い)。

 満島さん 胃袋、つかまれてますから(笑い)。

 寒竹監督 仕事の話もしてますよ(笑い)。

 佐藤さん なんだろう、おいしい料理を食べながら仕事の話をすると、自然とみんなハッピーになって、健全なぶっちゃけ話ができるんですよね。過去いろんな作品で、いろんなやり取りをしてきたけれど、ここまでぶっちゃけたやり取りは、なかなかない。新鮮だし、楽しいし、やりがいを感じてます。

 満島さん やった! 晴道役は、佐藤健さんはどうかな?と、私が提案したんです。私は、ラブストーリーをほとんどやったことがないので、ドキドキする新しいキャスティングがいいなと思っていて。プロデューサーの坂本さんが、ネットに出ている健くんの写真と私の写真を合わせて、みんなで見ながら「似合う、似合う!」「この組み合わせ新しい!」って盛り上がったりして。そして、健くんがやって来てくれて、寒竹さんの筆が動き出して、脚本がもっと具体的に、もっとすてきになっていった。ドキドキする場面が増えていった気がします。

 佐藤さん 僕自身、ラブストーリーは見るのも好きだし、挑戦したいとも思っているジャンルなので、ラブストーリーで声がかかるのはうれしくて。ただ、相手役の方は本当のところどう思ってるんだろうって、気にしちゃうんですよね。だから満島さんがさっき言ってくれたみたいに、「私が決めました!」と聞けるとホッとするし、すごくうれしかった。

 満島さん 健くんは、映画やドラマの画面越しで見ていて華やかで、私に足りないところもいっぱい持っていて、一緒にお芝居をするのがすごく楽しみです。この前、八ケ岳で打ち合わせをしたときも、この人は現場で先頭に立ってきた人なんだな、みんなの前に立って、みんなを背負ってきた人なんだなって思いました。

 寒竹監督 そのとき、八ケ岳のうちのカウンターで、ひかりちゃんと健くんが並んでビールを飲んでいる姿が、もう普通にお似合いで、とてもすてきで、ずっとニヤニヤしながら眺めてました。何だかんだ言っても、恋愛ドラマはカップリングが一番大事。恋が動き出しそうな2人じゃないと、ドラマを見たいと思わないですから。ひかりちゃんはもちろん、健くんに会ってからはイタコみたいになって、晴道についても筆が進みました。いい役者と出会うとこういうふうになるんだなって。通常のドラマだと脚本が完成していない段階で撮り始めることもあると思うんですけど、今回は、本を作る時間、議論する時間、熟成させる時間がある。ありがたいです。

 佐藤さん 役者としても、これだけ時間を与えてもらうことはぜいたくだし、感謝もしています。でも物作りって、本来そうあるべきだなとも思っていて。それに、このくらい本気度の高い作品じゃないと満島ひかりは出てこないんだなと。なんて言うか、レアポケモンみたいになっていて、なかなか会えないし、なかなか共演できない人なので、この機会はほんとに貴重です(笑い)。

 満島さん 確かに、なかなか出てこないかも(笑い)。この話をいただいたのは、フリーランスになってすぐの時期で、心体技ともに健康のまま作品に関われるのか不安もあったんです。少し休んで、いろんな役の疲れがとれてやっと自分に戻れていたのと、ドラマを作るためにドラマを作っていることにちょっと違和感が募っていたのと。お芝居が好きで、作品に愛おしさを感じて、そのキラキラした愛みたいなものを形にならない形にしていたいのに、何かやりたい!という衝動が作品を制作することそのものに負けていたり、作る過程の速度とか、ビジネスに負けているのが不思議で……。だから初めはいぶかしげに話を聞きに、会いに行ったんですが、帰り道に涙があふれてきて。たぶん寒竹さんをはじめ、プロデューサーの坂本さんと八尾(香澄)さんのそれぞれから、熱い気持ちやいい緊張感が伝わってきたから。ああ、私はこの人たちと出会ったんだなと心が動いたんです。脚本を自分で書いて自分で撮るということや、私と年齢が近いことも含めて、寒竹さんと共にやってみたいなと思いました。

 佐藤さん 僕も、寒竹ゆりは天才だと思いました。王道なラブストーリーということ以上のディテールが脚本の細部に詰まっていて、2人のやりとりやセリフの一言一言が美しい。すごく引かれましたね。

 寒竹監督 うれしいですね。坂本プロデューサーから宇多田ヒカルさんの「First Love」と「初恋」をつなぐ物語を作りたいと声をかけてもらって、すぐに「やりたい!」と思ったんです。多くの人にとって宇多田さんの曲は特別だと思うけれど、私は彼女と同じ学年ということもあって、そういう意味でも、常に気になる存在、特別な存在でした。今でもよく覚えているのが、宇多田さんが15歳でデビューしたとき、学者みたいな人が、難しい顔で歌詞を分析していたこと。そんな大人を同い年の子が感心させていることがショッキングでしたし、自分たちの方が彼女の歌詞を本質的に理解できている気がしました。このドラマのセリフにもありますが、その時「私たちの時代が始まった」と思わせてくれたんです。そんなこともあり、宇多田さんの「First Love」から「初恋」の間に起きた20年間のエポックを、也英と晴道の20年間のドラマを通して描くことがすんなりイメージできましたし、あの歌詞からこの物語を描く必然性を感じました。

 満島さん 他の国の作品だけでなく、日本のドラマも面白いってなってほしいですよね。たとえば欧米のドラマのダンスシーンのように、体に触れているのにキスできないとか、ずっと目が合っているのに何もできないとか、色っぽさが伝わってくるシーンって、日本だと難しいですかねって寒竹さんに尋ねたら、そういうシチュエーションを脚本に入れてくれた! 好きな人がすぐそばにいるのに恥ずかしくて見られない、でもつい目で追ってしまう、触れたくなる……そんな恋愛のときの豊かな感情が、透き通るように描かれています。これはもう、みんな健くん(=晴道)のことを好きになっちゃうなって。

 佐藤さん 僕は、みんな也英のことを好きになるだろうなって。脚本を読みながら普通にキュンキュンしていたし、特に高校生の2人のやりとりの甘酸っぱさは、映像で見たら、もっと胸キュンしちゃうんだろうなって思います。

 満島 胸キュン(笑い)。すてきな作品になる予感がずっとあるのですが、まずは無事に撮り終えたいですね(笑い)。

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