窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」で語りを務める声優の津田健次郎さん。春のドラマスタートから主人公の裕一(窪田さん)やヒロインの音(二階堂ふみさん)をはじめ、個性豊かなキャラクターに寄り添い、心躍るような楽しいときも、胸を締め付けるようなつらくて悲しいときも物語を見守ってきた。朝ドラの語りについて、「演技ともまた違う、ナレーションともまた違う、独自の世界観で、表現の面白さをとても感じている」といい、「コメディーシーンでは遊ばせてもいただいていて、自分の中に豊かなものが得られて楽しいです」と印象を語る津田さんに話を聞いた。
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その優しい語り口調が好評の津田さんだが、収録は「まずは僕が映像を見させていただいて、台本を読ませていただいて、感じたものを提供させていただく」ところから始まるという。
「それを演出の方にジャッジしていただいて、修正していく。そういう流れでやらせていただいています。(収録は)ブースでマイクの前に僕が一人立って、映像を見ながらやるのですが、ガラスの向こうにはスタッフさんがいらっしゃって、裕一らキャラクターや、役を演じる役者さんともすごく親和性を持てて、本当に皆さんと一緒に作っている感覚があります」と明かす。
意識すべきは「とにかく緩急」だ。「このチームはノリがよくて、攻める(笑い)。もちろん、締めるときは締めるし、抑えるところは抑えるんですけど、ノリがいいといいますか。作品をより豊かにするもの、豊かな遊びであれば、僕もまずチャレンジしてから考えるタイプなので、肌が合う。語りの中にいろいろなニュアンスを作らせていただいていて、それはナレーター、アナウンサーではなく、僕を呼んでいただいた理由なのだろうな」とし、「わりとツッコミで遊ばせていただいて、この語り感情があるぞって。とにかく緩急かなとは思っていて。ゆるむところはバンバンゆるませちゃって、締めるところはものすごくキチンと締めることができるのが理想」と結論づけていた。
語りとして見守ってきた「エール」の個性豊かなキャラクターの中では、唐沢寿明さん演じる裕一の父・三郎への思い入れが強く、「おっちょこちょいで、ちょっといい加減で、すごく愛にあふれていて、三郎さんが亡くなった回(6月12日放送の第55回)は一つの区切りでもあったので感動しました」と津田さん。また「裕一と音は別格で、本当に大好き」といい、「あとは藤堂先生(森山直太朗さん)。先生がいなければ、裕一の音楽人生は始まっていないので。だから先生が、戦争がとても似合わない先生が出征してしまうところは、本当に苦しかったです」と語ってみせた。
そんな津田さんは、10月27日放送の第97回に顔出し出演を果たした。演じたのは、戦後闇市の近くですさんだ生活を送る久志(山崎育三郎さん)のマージャン仲間の犬井。
「めちゃくちゃうれしかったですね」と本編登場を喜ぶ津田さんは、「語りとして参加させていただいてきて、本当に個人的に好きな作品なので。顔を出す方でも参加させていただけるなんて」と感慨深げ。「僕からも“カメオ(出演)でもいいから”と言いましたけど(笑い)。本当にやらせていただけることになってびっくりしました」と告白する。
犬井という役どころについては、「闇市の怪しい人と言いますか、何者かよく分からない。決して堅気じゃない感じの、簡単に言ってしまうと柄の悪い、ドスの効いた感じのキャラクターをやらせていただきました」と話すと、「ずっと見続けてきたキャラクターがそこにいてっていうのが何よりも楽しかったです」と振り返っていた。
「もともと顔を出してお芝居をするのは好き」という津田さんは、今後に向けて「お声がけいただければ、バンバン(出たいです)」と笑顔で答えると、「声の収録とは違う現場の雰囲気、お芝居のアプローチも楽しいですし、今回もすごくエキサイティングな時間でした」と改めて充実感をにじませていた。
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