「夜明け告げるルーのうた」「ピンポン THE ANIMATION」などの湯浅政明さんが監督を務める劇場版アニメ「犬王」(2021年公開)で、マンガ家の松本大洋さんが描いたキャラクター原案が6月15日、公開された。湯浅監督は「松本大洋さんらしい流麗な雰囲気を映像でも再現したい」「真っ暗闇の中で音がしたものから次々に画(え)が見えていく様子を映像として表現したい」とコメントを寄せている。伊東伸高さんがキャラクターデザイン、作画監督、中村豪希さんが美術監督、松本憲生さんがメインアニメーターを担当することも発表された。
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「犬王」は、作家の古川日出男さんが「平家物語」を現代語訳した「平家物語 犬王の巻」(河出書房新社)が原作。南北朝~室町期に活躍し、世阿弥と人気を二分した能楽師・犬王、盲目の琵琶法師・友魚(ともな)の友情が描かれる。ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」などの野木亜紀子さんが脚本を担当する。
オンラインで開催される世界最大級のアニメの祭典「アヌシー国際アニメーション映画祭2019」のプログラム「Work in Progress」で「犬王」の製作過程を紹介。湯浅監督は、主人公の二人について「犬王は不遇の中にあっても、とことん明るく、自分の生き方を自分で決める存在。友魚は盲目の琵琶法師で耳に聞こえたものから、世界を認識していく。明るくて自分を肯定する力が強い犬王に出会って、心を開き、二人でどんどん人気者になっていく」と解説した。
また「伝統芸能というと難しそうなイメージがありますが、当時大衆に人気があったというのが面白いと感じたので、現代のパンクやハードロック、ヒップホップなど、新しいジャンルのポップミュージックが登場し、人々を熱狂させた瞬間のように、さまざまな自由な表現も入れながら描きたい」とコメント。
テーマについて「社会生活の中で、なかなか報われないと感じている人も多くいるのではないかと思いますが、しっかりちゃんとやったものは、どこかで残っていくものだ、というようなテーマをこの映画で伝えられたらと思いますし、こんな人がいたかもしれない、という犬王と友魚の二人の物語は、とても力強いものになりそうだ、という手ごたえを感じています」と語った。
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