ゲゲゲの鬼太郎:やっぱり“神回”だった「幽霊電車」 第6期の魅力 妖怪より恐ろしいものとは…

アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の第7話「幽霊電車」の一場面(C)水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
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アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の第7話「幽霊電車」の一場面(C)水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション

 水木しげるさんのマンガが原作のテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期の第7話「幽霊電車」、フジテレビほかで5月17日に再放送された。「幽霊電車」は、これまで何度もアニメ化されてきた人気エピソードで、第7話は2018年5月に放送され“神回”と話題になった。“神回”、第6期の鬼太郎の魅力を改めて探った。

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 ◇悪い人間は容赦なく切り捨てる

 第6期は、人々が妖怪の存在を忘れた現代が舞台。現代ならではの問題を取り上げた。「幽霊電車」は、ブラック企業のパワハラ、SNSいじめが描かれ、鬼太郎が妖怪から人間を救うのではなく、悪い人間は容赦なく切り捨てる描写もあった。日曜朝の番組ながら、ハードな内容で、鬼太郎はただの正義のヒーローではないということを印象づけた。

 ある企業の社長が、部下の男と飲み屋で「妖怪なんて信じるやつは、自分が弱いのを言い訳にしているだけだ」とくだを巻いているところに、鬼太郎が現れる。鬼太郎が「見えなくても妖怪はいる」と反論すると、社長は鬼太郎を突き飛ばして立ち去ってしまう。帰路についた社長と部下だが、不思議な臨時列車に乗ることになる。電車がいつもと違う場所を走っていることに気づき、周りを見回すと、乗客たちの様子もどこか薄気味悪い。社長はあくまで強気だったが、世にも恐ろしいことが起こる。

 幽霊電車に乗る社長は、ブラック企業で部下にパワハラをしてきた。社会問題であるSNSいじめも描かれた。鬼太郎が、現代の社会問題を「妖怪なんかよりよっぽど恐ろしい」と語るシーンも印象的だ。

 ◇振り切った表現を

 鬼太郎の描かれ方は作品によって異なる。原作では人情に薄く、どこか冷めたキャラクターとして登場したこともあった一方で、アニメでは、人間のために悪をやっつける正義のヒーローとして描かれたこともあった。第6期を制作した東映アニメーションの永富大地プロデューサーは「鬼太郎は、人間を助けるが、何も言わずに立ち去る。人間が悪かったら、容赦なく切り捨てることもあります。子供に嫌われるかもしれません。でも、振り切った表現をしたかった」と話したことがあった。

 第6期で鬼太郎の声優を務めた沢城みゆきさんの演技も絶妙だ。沢城さんは鬼太郎について「失敗しない男の子だと思っていました。ただ、1年目の最後に、迷うし、完璧じゃないところもあると感じていました。崇高なものとして演じるわけではないんです」と語ったことがあった。沢城さんの熱演もあったからこそ、第6期の鬼太郎は魅力的なのかもしれない。

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