日向坂46:“遅咲き”デビューから1年 気鋭のアイドルグループ、今さら聞けないその魅力

日向坂46
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日向坂46

 乃木坂46、欅坂46に続く坂道グループとして昨年3月にシングルデビューした「日向坂46」がデビュー1年を迎えた。デビュー1年目でのレコード大賞、紅白歌合戦出場に、メンバーはドラマ、映画にモデル、バラエティーとさまざまな活躍を見せている。一方で、デビューまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。さまざまな魅力を持つ日向坂46の軌跡を振り返ってみたい。

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 ◇“ひらがな”としての歩み

 日向坂46には、前身グループ「けやき坂46」(ひらがなけやき)として活動してきた歴史がある。2015年8月、乃木坂46に続く坂道シリーズの第2弾として誕生した欅坂46。その追加メンバーとして、同年11月に特例で欅坂46への加入が決定した長濱ねるさんが、まずは“アンダーグループ”からスタートするという意味合いで新設されたのがけやき坂46だった。「新しく長濱ねるの仲間を集めよう」という目的でメンバーの募集も開始。2016年5月、欅坂46がファーストシングル「サイレントマジョリティー」での鮮烈なデビューで世間をにぎわせている頃に、オーディションで選ばれた11人の合格者と、長濱さんの12人で、けやき坂46の活動は始まった。

 しかし、長濱さんはその後すぐに欅坂46のセカンドシングル「世界には愛しかない」のメンバーに選ばれ、グループ兼任が発表。けやき坂46は、同シングルのカップリング曲を担当し、以降も欅坂46の各シングルのカップリング曲として楽曲が収録されるも、認知度としては低い状況がしばらく続いた。

 ◇転機、そして改名

 2017年になると、全国ツアーの開催や、追加メンバーの2期生の募集も始まったが、初期メンバーの長濱さんは多忙を極めた活動を考慮して、けやき坂46の兼任が外され、欅坂46への専任が決定。けやき坂46が、欅坂46とは完全に異なるグループとして歩むことになる出来事だった。

 だがその頃になると、グループ人気は徐々に高まりつつあり、2018年には、欅坂46が急きょ出演できなくなったことで3daysとなった日本武道館公演を成功させ、レギュラー番組「ひらがな推し」(テレビ東京系)の開始や、デビューアルバム「走り出す瞬間」が発売された。そして2019年2月11日、グループ名の改名が発表。デビューから約3年目にして「日向坂46」として、新たにデビューすることが決まった。

 ◇ロケットスタートの船出 2020年末には東京ドーム公演

 2019年3月27日にファーストシングル「キュン」で念願のデビューを果たした日向坂46。初週約47万6000枚を売り上げ、4月8日付のオリコン週間シングルランキングで、「女性アーティストのファーストシングルによる初週売上枚数」として歴代1位となるロケットスタートを記録した。

 7月17日発売のセカンドシングル「ドレミソラシド」も初週約44万9000枚を売り上げ、7月29日付のオリコン週間シングルランキングで初登場1位を獲得。「ファーストシングルから2作連続の初週40万枚超え」は、「KAT-TUN」「King&Prince」に次いで史上3組目となった。10月2日発売のサードシングル「こんなに好きになっちゃっていいの?」も初週で47万7000枚を売り上げ、10月14日付の「オリコン週間シングルランキング」でまたも初登場1位を獲得。「ファーストシングルから3作連続の初週40万枚超え」を達成し、女性アーティストでは初の快挙となった。こうした快進撃もあって、デビュー1年目にもかかわらず「第61回 輝く!日本レコード大賞」「第70回NHK紅白歌合戦」に出場と一気にスターダムに駆け上がっていった。

 ◇掲げる言葉は「ハッピーオーラ」 クール系も

 アンダーグループとしての誕生、兼任解除によるメインメンバーの離脱、そして改名からのロケットスタートと、波瀾(はらん)万丈の歩みを続ける日向坂46。ドキュメンタリー映画「3年目のデビュー」(竹中優介監督)のタイトルにもあるように、デビューまで長い時を要した“遅咲き”のアイドルたちともいえる。では、彼女たちの魅力は何なのか。

 日向坂46が掲げる言葉が「ハッピーオーラ」だ。けやき坂46時代に「ハッピーオーラ」という楽曲が制作されたように、けやき坂46時代からグループを表す言葉として用いられてきたが、改名後は、より一層その言葉に重きを置いて活動している。楽曲も「キュン」や「ドレミソラシド」など明るい、耳に残るような王道系のアイドルソングが多い。一方で、先輩グループの欅坂46を間近で見て磨かれた、けやき坂46時代の“クール路線”も継承しているので、「こんなに好きになっちゃっていいの?」や「青春の馬」(フォースシングルカップリング)など表現の幅が広いのだ。

 デビューから2年目のグループではあるが、そこまでの“助走期間”が長かった分、ファンの層も分厚い。先日は、新型コロナウイルスの影響で、アリーナツアーや握手会の延期などが相次ぐ中で、著名人を含む、年代、性別ともに幅広い層のファンがSNS上で好きな楽曲を公表し、リレー形式で繋いでいく「#日向坂名曲つなぎ」が盛り上がりをみせた。メンバーも、4月30日に公式ツイッターで、手洗い、うがいを呼びかける“STAY HOME動画”を公開したほか、メッセージアプリで、自宅から料理やゲーム実況など特技を発信することでファンと交流している。
 
 冠番組「日向坂で会いましょう」(テレビ東京系)での、さまざまな企画に体当たりでぶつかっていくメンバーの姿にもいえることだが、“助走期間”の長さは、何事にも全力で奮闘するというグループとしての個性や魅力に繋がっているように見える。そうしたメンバーのひたむきな姿にファンは心を掴まれるのだ。

 結成2年目の今年は、3期生となる新たなメンバーを迎え、現在21人(※1人は学業のため一時活動休止中)で活動中。ドキュメンタリー映画の公開と、全国アリーナツアー、12月には東京ドームで2日間にわたってのライブも予定されている。日向坂46から生み出される全力の「ハッピーオーラ」に、さらに多くの人が照らされるはずだ。

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