故・水木しげるさんのマンガが原作のテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期(フジテレビほか)が3月29日放送の第97話「見えてる世界が全てじゃない」で最終回を迎える。2018年4月スタートの第6期が、約2年の歴史に幕を下ろす。第6期は2007~09年に放送された第5期以来、約9年ぶりの新作。ブラック企業、SNS依存、移民問題などが描かれたことが話題になった。8頭身美女となったねこ娘が人気を集めた。最終回を前に第6期の挑戦を振り返る。
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「ゲゲゲの鬼太郎」は、主人公の鬼太郎が、ねずみ男、砂かけばばあら個性的な仲間の妖怪たちとさまざまな事件に立ち向かうマンガ。1968~69年にテレビアニメ第1期が放送され、以後半世紀以上にわたって愛され続けてきた人気作だ。
第6期は、第1話の冒頭から現代ならではの題材を取り扱うことを印象付けた。渋谷のスクランブル交差点で、信号無視をしたらどうなるか? という動画を撮影する若者が突然、木になってしまう。道行く人々は、木になった様子をスマートフォンで撮影し、SNSにアップし、その人たちも木になってしまう。スマートフォン、SNSが普及した現代ならではの展開だ。
アニメを制作する東映アニメーションの永富大地プロデューサーは「自己顕示欲のために動画を配信したりSNSを利用したりするなんて、10年前には無かった。『ゲゲゲの鬼太郎』の妖怪は人間の心や社会の中から生まれるもの」という思いがあったという。
「ゲゲゲの鬼太郎」は、時代によって変化してきた。1971~72年に放送された第2期では、当時、問題になっていた環境破壊、公害などがテーマのエピソードがあった。バブル真っただ中の1985~88年放送の第3期では、自然や他人に対する思いやりや優しさが失われた時代が舞台となった。「過去の作品をひもといてみると、時代を映そうとしたのではないようです。結果的に時代を映す鏡になってきた」という。
人間のエゴ、社会のいびつさを生々しく描き、攻めているな……と感じることもあった。
「『とがっていますね』と言われることもあるのですが、際立たせようとした意識は無いんです。表面的に奇抜なところを強調してもボロが出ますからね。妖怪は、人間の心、社会のひずみに存在する。時代を反映しようとしたというより、妖怪がどこにいるのか? を考えた時、結果的にこうなったところもあります」
日曜朝の番組なので、視聴者の多くは子供ではあるが、攻め続けた。
「フジテレビさんからも『アクセル全開でかまわない』とおっしゃっていただいています。子供は理解できないことが多いと思いがちですが、大人が思っている以上に子供には文脈や行間を読む力があります。今の放送事情を考え過ぎず、面白いものをやろう! とフルスイングで作っています」
いつの時代も人間の心の闇、社会のひずみが無くなるわけではない。第6期は最終回を迎えるが、またカランコロンと鬼太郎のゲタの音が聞こえてくるのかもしれない。
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