女性陶芸家のパイオニア・川原喜美子の波瀾(はらん)万丈の半生を描く戸田恵梨香さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」。このほどNHK大阪放送局(大阪市中央区)で行われた会見で、制作統括の内田ゆきチーフプロデューサー(CP)とチーフ演出の中島由貴さんから、戸田さんのプロ意識に対して、絶賛の言葉が相次いだ。
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喜美子のルックスは「戸田恵梨香さんが作ったもの」と内田CP。「美しく見せるのではなく、陶芸で働いて、日々生きて家の仕事もしているふうに見せたい……という思いを、とても強く持っていらっしゃる。例えば『今、走ってきた設定だから、髪を乱してください』と、自分から言われます。だからこちらも、女優さんに言えそうで言えない提案を、どんどん出せるようになりました」と舞台裏を明かす。中島さんも「前髪を眉毛より上に切るのも『やります』と、全然躊躇(ちゅうちょ)しなかったですね。むしろ切りすぎて、ガタガタになってる時期もありましたけど(笑い)、そこは本当にプロです」と戸田さんの真摯(しんし)な姿勢を称賛した。
また、「スカーレット」で大事にしていることは「芸術家の面より、生活者の描写」だと語る。中島さんは「才能だけで、みんなに上げ膳据え膳されるような主人公を描きたいとは、まったく思ってなくて、むしろ日々の生きざまですよね。陶芸家の修業ももちろんですけど、人間修業……特に大阪編の趣旨は、全然知らない人と切磋琢磨(せっさたくま)することで、まず人間力を鍛えることを、主題にしていたところがあります。そのへんのディテールを、なるべく丁寧に追いながら描写していきたい」と話す。
内田CPも「陶芸は、手から力を込めて作って、焼き上がってみたら予想とはまた違うものができた……と、まさに人生が投影できる部分がある。その様子も描きつつ、喜美子が自分だけじゃなく、他の人のためにも生きていることを見せていければと思います」と意欲を見せた。
今後の展開について、内田CPは「今(11月下旬)は“喜美子青春編”で、これから陶芸家となり、大人の女性ならではの人生の楽しみと苦しみを味わっていく。年明けの喜美子は、(雰囲気が)全然違うと思います」と明かす。そして中島さんの「我々としては、喜美子にはずっと修業をしてほしい。最終回まで多分“この人、ここがゴールだなあ”というところはないと思います。陶芸家として名を成しても、まだ人間修業をしなきゃいけない……という中で、ある弟子に出会います」という言葉を受けて、内田CPが「このお弟子さんが、大久保さんやフカ先生に代わる、喜美子を成長させるパーツと考えています。その配役は“おっ、そう来たか!”と思われるかもしれませんね(笑い)」と続けて、今後の物語とキャスティングに期待を持たせた。
「スカーレット」は101作目の朝ドラで、焼き物の里・滋賀県の信楽が舞台。11月までは、喜美子が中学卒業後、大阪の荒木荘での女中奉公を経て、信楽一の窯元「丸熊陶業」で女性初の絵付師となるまでを見せてきた。12月からは、彼女が同僚の十代田八郎(松下洸平さん)を通じて陶芸に出合い、女性陶芸家としての道を歩み始める姿を描いていく。
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