安田顕:粘土食べ熱演! 実在した“伝説の男”演じ「再現ドラマにはしない」と強い思い 「黄色い煉瓦」で煉瓦職人に

11月27日に放送される主演ドラマ「『黄色い煉瓦』~フランク・ロイド・ライトを騙した男~」について語った安田顕さん
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11月27日に放送される主演ドラマ「『黄色い煉瓦』~フランク・ロイド・ライトを騙した男~」について語った安田顕さん

 俳優の安田顕さんが主演を務める「『黄色い煉瓦(れんが)』~フランク・ロイド・ライトを騙(だま)した男~」が、NHK・BSプレミアムで11月27日午後10時から放送される。安田さんは、大正時代のはじめ、日本で「黄色い煉瓦」を焼くことができた唯一の職人と言われ、世界的建築家フランク・ロイド・ライトが会いに出向いたという、実在した愛知・常滑の煉瓦職人・久田吉之助を演じる。「やるからには再現ドラマにはしたくなかった」と役への並々ならぬ思いを口にする安田さんに作品への思いを聞いた。

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 ◇久田吉之助は「職人気質で強い思いを貫いた」

 ドラマは、一人の女性ライターが、建築陶器の町・常滑を舞台に、伝説の職人の真実を探っていく形で進行する。今からおよそ100年前、旧帝国ホテルの設計にあたって、ライトは、外壁を「黄色い煉瓦」で飾ることを求めた。当時、日本で黄色い煉瓦を焼くことができた職人は久田吉之助(安田さん)しかおらず、ホテル側は協力を依頼。しかし、ライトが訪れた時、吉之助の右腕は病気で失われていた。ライターは黄色い煉瓦の製造に関わった職人たちの実話に基づき、吉之助が本当に天才職人だったのか、それとも詐欺師だったのか真実を探る……と展開する。「愛知発地域ドラマ」としてNHK名古屋放送局が制作した。

 安田さんは吉之助について「喜怒哀楽をはっきり持っている。職人気質で自分にしかできないことをしたいという強い思いを貫いた方」だと捉えており、台本を初めて読んだときは「ものの見方の違い」を感じたという。ドラマの副題「フランク・ロイド・ライトを騙した男」にもあるとおり、「だましたという見方もできるし、だまそうとしてだましたんじゃない、必死に生きた人だという見方もできる。角度を変えれば人の見方は変わる。帝国ホテル側から見れば、だましたということは否めない。その中で彼がどのように(煉瓦造りに)取り組んできたのかを知ってほしいというのが、このプロジェクトの始まり」と作品によって伝えたい思いを語った。

 ◇粘土を食べる演技も妥協なし 演出家も驚く“食べっぷり”

 役作りについて「妥協しない」と話す安田さんは、今回粘土を食べる演技にもチャレンジ。演出を手がけた勅使河原亜紀夫さんが「ほんの少し食べてもらうつもりが安田さんはガバッと直径5センチくらい食べたんです」と驚くほどの“食べっぷり”で、安田さんは「食べたほうが面白いじゃないですか。笑っちゃう人もいるだろうし、この人はそんなに入れ込んでいるんだと思う人もいるだろうし。ずっとずっと追い求めていた土があったら、その喜びを短い時間でどう表現するか、自分からも提案します。(そのシーンに)何が必要かということ」とより良い表現をすることに際限はないと語った。

 また吉之助は病気によって右腕をなくしており、演技での苦労を聞くと「撮影上は不便だなとは思いますけど、『弱虫ペダル』というアニメを見て、そんなことで四の五の言う時代ではないなと思った。ハンディキャップがあることは吉之助にとって重要で(ドラマの中でも)描かれますが、それよりもこの物語が伝えたいことは、吉之助という人物そのもの」と熱弁を振るう。

 これまでさまざまな役を演じてきた中で今回、吉之助を演じることは「意地だった」とも言い「あなたは(この役を)できるか?と、お話をいただいたら、意地です。やるしかない。やるからには再現ドラマにしたくなかった」と力を込める。さらに自身が北海道室蘭市という地方都市出身であることから、常滑市などで撮影された今作にも「地方で撮る面白さがある。余計に燃えます」と熱い思いを口にした。

 ◇ボイメン小林豊と撮影の合間に北海道トーク 「爽やかで好青年!」

 今回、久田とともに働く伊奈長太郎を、男性10人組ユニット「BOYS AND MEN」(ボイメン)の小林豊さんが演じている。長太郎も実在の人物で、のちに長三郎と改名し、伊奈製陶を創業した。

 安田さんは「吉之助が必死になって追い求めたものを若い長太郎は見ていて、『任せたよ』と引き継ぐ思いも物語の中では描かれています」と小林さんとのシーンを振り返った。撮影の合間には「(小林さんが)北海道の番組のロケに行くそうで食べ物の話をしています」と明かし、「爽やかですごく好青年ですね!」と笑顔を見せた。

(取材・文・撮影/神取恭子)

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