飯豊まりえ:「いなくなれ、群青」真っすぐなヒロインに「運命的」と共感 

映画「いなくなれ、群青」で真辺由宇役を演じる飯豊まりえさん
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映画「いなくなれ、群青」で真辺由宇役を演じる飯豊まりえさん

 俳優の横浜流星さん主演の映画「いなくなれ、群青」(柳明菜監督、公開中)に出演している女優の飯豊まりえさん。映画は謎だらけの島・階段島を舞台に、悲観的な主人公・七草(横浜さん)と七草の幼なじみで理想主義者の真辺由宇(飯豊さん)たちが島にまつわる謎を解き明かそうとする姿を描いた青春ファンタジーだ。これまで演じてきた役の中でも、真辺は「特に自分と近いキャラクターだった」と語る飯豊さんは、「運命的な出会い」と役への思いを明かす。飯豊さんに真辺役を演じた感想や主演の横浜さんとの共演などについて聞いた。

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 ◇「運命的な出会いだった」 真っすぐな真辺に共感

 原作は実写映画化やアニメ化されたライトノベル「サクラダリセット」の作者・河野裕さんの同名小説(新潮文庫nex)で、第8回「大学読書人大賞」も受賞している。映画は、ミステリアスな雰囲気の七草と凛々しい少女・真辺が奇妙な島・階段島で再会。真辺は島から出るために、七草ら周囲を巻き込みながら島にまつわる謎を解き明かそうとする……というストーリー。

 飯豊さん演じる真辺は、真っすぐで凛としたキャラクター。自分の納得のいかないことには敢然とぶつかっていく理想主義者でもある。原作を読んだ飯豊さんは「似ている部分がたくさんありました」と共感し、「たとえば、言葉のかけ方とか。七草に対して『なんで?』と言ったり、そういう言葉の選び方が一緒でした」と共通点を明かす。

 また、真辺への思いを強くするエピソードもあった。「友人が原作を読んでいたんです。私が演じることは解禁されていないときで、『実写化されるなら、まりえちゃんっぽいな、と思った作品があるんだよね』と言われたのが、まさに今作で(笑い)。自分の中では、一番運命的な出会いだった、というか……」と感慨深い表情で振り返る。

 これまでさまざまな役を演じてきた飯豊さんの中でも、真辺は特に自身と近いキャラクターだったという。「不思議な時間だったな、と思います。自分ではないけれど、私であるということを忘れたときに階段島で会った私……という感覚でした。私も記憶をなくして階段島にいたらああなるだろうな、と、そんな気持ちで演じていました。(撮影は)1カ月弱ぐらい泊まり込みだったので、その間だけは自分じゃない人になる、というか……。役作りで入り込むって、これまであまりなかったんですが、そんな不思議な空気感はありました」としみじみ語る。

 そんな真辺への思いを口にする飯豊さんだが、一方で、“ショック”なことも。「自分は真辺に近いと思っていたんですが……映像を見て、よくよく考えると、『真辺って、可愛い女性ではないぞ』と思って、すごくショックでした。『そっかー、私ってこんな感じか』って(笑い)」と冗談交じりに笑顔をみせる。

 ◇「一緒に遊んでいた」過去も… 横浜流星の座長ぶりを尊敬

 七草を演じる横浜さんとは、実は芸能界では「幼なじみ」という飯豊さん。10代前半のころは「よくみんなで遊んでいたりしていました」と明かし、「でも、お芝居でお仕事したのは初めてだったので、再会という感じです」と説明。その後は同じ高校に通うなど共通点はあったものの、「青春時代は(関係に)ぽっかり穴があいていたので、『どんなふうになっているのかな』という感じでいました」と撮影前の心境を明かす。

 共演し、「当時一緒に遊んでいた横浜君と全然違う大人になっていた」と驚いた。「すごく責任感もあるし、芯の強さがブレていなかった。主演としての責任感とかすごく考えていて、尊敬しました」と“座長・横浜流星”の印象を打ち明け、「泣きのお芝居を何回もやったりして『あ、申し訳ない』と思うんですけど、ドンと構えていてくれるところも、やりやすかったです」と共演の感想を語る。

 ただ、「真辺に近い」という飯豊さんだが、七草との向き合い方に葛藤もあったという。「(真辺は七草に)突き放されているから、七草に対する寂しい感情の持っていき方などがすごく難しかったんですよね。冷たくされている人にここまで求めるって難しいな、と思いながらやっていました」と飯豊さん。「七草に感情をぶつけるシーンは、全部難しかったですね。ぜんぜん泣けないときもあったんです。泣けるまで、何度も監督が『目でお芝居するんじゃなくて、ここ(心)でお芝居して』と言ってくれていました」と苦労を明かす。

 ◇捨てたいのは「察知能力」

 映画の舞台は“捨てられた人たちの島”階段島。“捨てる”というキーワードにちなみ、飯豊さんに「捨てたい」「捨てたくない」部分を聞いてみた。まず捨てたい部分を聞いてみると、「察知能力です」と即答。「人が落ち込んでいたりすると落ち込みます。その人の落ちるテンション(と一緒)になっちゃうというか、伝染してしまうというか……。『今こういうふうに思っているのかな』とか『こういうふうに思われているのかな』とか、そういうことばっかり気にしてしまうので、鈍感になりたいです」と理由を説明する。

 では、捨てたくない部分は? 最後にそう聞くと、「人に興味を持つことは、なくしたくないですね」と飯豊さん。「良くも悪くも、すごく人の目とかが気になっちゃうんです。でも、それがあるから気づけるものもある。過剰に反応しちゃうところはあるんですけど、ないよりはある方がいいかなと思っています」と演じる真辺のようなポジティブさで語ってくれた。

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