兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催中の「没後130年 河鍋暁斎 -鬼才!Kyosai!-」展(毎日新聞社など主催)を、マンガ家のちさかあやさんが4月後半に訪れた。ちさかさんは河鍋暁斎の若き日を描いた「狂斎」(エコーズ、徳間書店)が今年2月に刊行され、注目されている。ちさかさんに「暁斎の魅力」について聞いた。
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「狂斎」は投稿マンガサイト「マンガハック」を運営するエコーズが手がけ、宣伝費の一部をクラウドファンディングを利用して募集する、などの手法も話題になった。
ちさかさんは別の絵師を取り上げた教材マンガなどを描くうち、「もっと絵師の“まともさの枠を超えた情熱”に触れたものを描きたい」と思い、暁斎を題材に選んだ。「ものすごくうまく、細かいことを描く一方、グロテスクなもの、妖怪画も描き、暁斎日記ではとても可愛い図柄も描く。何でも描き、“とにかく絵が好き”という思いが伝わってきてとても面白い」
マンガにするに当たって、非常に寡黙で人付き合いの悪い人物に描いた。ときどき心情が“背中に表れる”手法がユニークだ。「絵に狂気のような熱を持っている若者として描きたかった。ただ、後に成功した絵師として多くの注文を受けるようになるので、その過程で人柄も変わってくると思う。そこまで続編を描きたいと思っています」
マンガの狂斎は、絵への熱い思いのままに、ひしゃくで水をまいて描いたり、指で描いたりする。ちさかさんは「実際にやってみました。水はうまくいきませんでしたが、マンガの一部は実際に私が指で描いたものです」と作中の絵師の情熱を共有しているようだ。
神戸での暁斎展では特に花鳥画の細かさが印象に残ったという。「鳥の羽の細部や、植物の葉脈まで描き込み、それでいて全体の構図は崩れない。バランス感覚のある、大変な努力の人だと思う。下絵類を見ても研究熱心ぶりが分かる。多面的な暁斎を感じることができると思う」と話す。「これからも関心を持ち続け、続編につなげたい。絵師の持つ“熱”を伝えたい」と意欲を語った。
河鍋暁斎展は19日まで。7日と13日は休館。入館は午前10時~午後5時半(金・土曜は午後7時半まで)。兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)。最寄り駅は阪神電鉄岩屋駅、JR灘駅。観覧料は一般1400円、大学生1000円、70歳以上700円。【伊地知克介】
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