女優の藤野涼子さん主演の映画「輪違屋糸里(わちがいやいとさと) 京女たちの幕末」(加島幹也監督)が15日に公開される。浅田次郎さんの小説「輪違屋糸里」(文春文庫)が原作。幕末・京都の花街で島原輪違屋に身を置く芸妓・天神糸里を演じた藤野さんに、役作りや共演者とのエピソードなどについて聞いた。
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映画は、糸里ら女性の目線から新選組の芹沢鴨暗殺事件を描く本格時代劇。溝端淳平さんが糸里と恋仲の新選組・土方歳三、塚本高史さんが芹澤鴨、佐藤隆太さんが芹澤の腹心・平山五郎、松井玲奈さんが平山と恋仲で、糸里とは仲のいい桔梗屋の芸妓・吉栄をそれぞれ演じている。
――浅田次郎さんの原作、脚本の印象をお聞かせください。
最初は、ストーリー全体を読もうと思っていて、普通の歴史小説だと男性目線で書かれているものが多いと思うんですけれど、今回の作品では、糸里、きっちゃん(吉栄)ら女性目線で書かれているところが多くて。読んだ時は16歳だったんですが、恋愛としての新しい部分があって、興味深いな、という印象でした。
――映画での時代劇は初挑戦となりますが、役作りにはどのように臨まれましたか?
最初に台本を読んだ時は、糸里のイメージが真面目で、もっと堅苦しくて、16歳という年齢設定なんですが、本当は26歳くらいなんじゃないかなと思うくらいの落ち着きがあると思いました。ですが、加島監督が「糸里はもっともっと子供で、幼い」と。私の16歳と近い部分があると教えてくれました。私と糸里は、子供っぽさ、幼稚さがマッチしているんだなと思いました。
――自分の子供っぽいと思うところは?
何ですかね。負けず嫌いなところですかね。人がやっていてできているところを見ると、自分ができてないことにイライラしてしまう。「だったら自分もできるようにしてやる!」と思いますね。
――恋愛も思い通りにならない時代を生きた糸里に共感できる点、できない点は?
糸里は16歳の天真らんまんな女の子で、そこはいいところでもあるし、私と近い部分でもあるんですが、糸里と私の違う部分、「私だったらそういうことはしないな」と思うところは、啖呵(たんか)を切るところ。私も、自分で強い女性でありたいなと思っているんですけれど、糸里は自分の人生より、他の人の人生を良くするために、愛という道を捨てて、自分のキャリア、自分の道を進む選択をした。もしかしたら私はそこは(選べない)。(私の)弱い部分かなと思います。
――糸里と溝端淳平さん演じる恋人の土方とのシーンで印象に残っているのは?
私が一番印象に残っているシーンは、川辺で2人で話すシーン。糸里と土方が最も触れ合える、安心して2人の関係性を見せられるシーンだと思うので、ここは本当に重要だと思っていたんですが、なかなか、私と糸里の気持ちがマッチするところが見つからなくて、そのシーンは何回もテイクを重ねたんです。
でもその時に「もしかしたら溝端さんの腕の部分を触ったら、もっと糸里の気持ちが分かるかもしれない」と、思って溝端さんに聞いたら、「そういうことはどんどんちゃんとやってみたらいいと思うよ」と言ってくれました。糸里と土方さんの恋愛的な感情のシーンでもあるし、私と溝端さんとの演技の上での、お兄さんと妹みたいな関係ができたなと思う瞬間でした。
――友人の芸妓・吉栄を演じた松井玲奈さんとのエピソードを教えてください。
撮影1カ月くらい前からリハーサルを始めたんですよ。その時に、松井さんとリハーサルを何回もやらせていただく機会があって、趣味の話とかをしました。(時代劇の)所作のおけいこも、(松井さんと)一緒にしていたので、「この手の位置で合ってるのかな」とか、「この歩き方で合ってるのかな」とか(話した)。先輩なんですけれど、友達のような気持ちで接することができました。温かな雰囲気でした。
――撮影以外ではいかがですか?
ちょうど撮影がクリスマスの時期だったので、「クリスマスプレゼントをどうするか」という話をしていて。その時に、松井さんは「仮面ライダーのコスチュームが欲しい」と言っていたので、素晴らしい趣味だなと思っていました。私もそういう(好きな)ものを自分で何か見つけられたらなと思いました。
――今後はどんな役にチャレンジしたいですか?
今までは真面目なキャラクターが多かったので、今度はもっとはっちゃけた、もっとテンポのある役(をやりたい)。コメディーだったり、ちょっとツッコむ役であったりとか。アクションにも興味がありますね。殺陣(たて)もやってみたいと思っていて、中学生の時に、1カ月くらい殺陣を習ったことがあります。もっともっと練習して、アクションをする役を演じてみたいなと思います。
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