注目映画紹介:「人魚の眠る家」篠原涼子主演 娘の奇跡を信じる母が切なく問い掛ける 夫役は西島秀俊

映画「人魚の眠る家」のビジュアル (C)2018「人魚の眠る家」製作委員会
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映画「人魚の眠る家」のビジュアル (C)2018「人魚の眠る家」製作委員会

 篠原涼子さんと西島秀俊さんが映画初共演で夫婦役を演じた「人魚の眠る家」(堤幸彦監督)が、16日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで公開される。東野圭吾さんの同名ベストセラー小説が原作。事故で脳死状態になった娘を巡る一家の葛藤を描いたヒューマンミステリーだ。眠り続ける娘に希望を捨てない母親の愛情と狂気を、篠原さんが胸に迫る芝居で演じ、見る人に切なく問い掛けてくる。

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 娘・瑞穂(稲垣来泉ちゃん)の小学校受験が終わったら離婚する予定だった播磨薫子(篠原さん)と和昌(西島さん)に、突然悲劇が訪れる。瑞穂がプールで溺れて意識不明となり、昏睡(こんすい)状態に陥ったのだ。脳外科医の進藤(田中哲司さん)に「脳死の可能性が高く、回復の見込みなし」と告げられた夫婦は、究極の選択を迫られるが、奇跡を信じた薫子は……という展開。

 和昌の経営するIT機器メーカーの研究員で、薫子の信頼を得る役を坂口健太郎さん、その恋人役を川栄李奈さん、薫子の妹役を山口紗弥加さん、薫子の母親役を松坂慶子さん、和昌の父親役を田中泯さんが演じる。

 脳死、臓器移植……人の死の定義について考えさせられる難しいテーマ。母が娘を思う強い気持ちを軸に描かれる。周囲の人を振り回し、何かを見失っていく薫子。母性あるがゆえの切実な姿に共感と違和感の両方をはらみつつ、観客に問い掛けてくる。娘の死を受け入れられず、暴走していく薫子の痛いほどの感情を、篠原さんが繊細に表現した。

 近未来的な技術に頼り、娘の命を操る場面では、薄気味悪さと愛情の深さが複雑に絡み合う名シーンになった。冷静さを保とうとする父親との対比も面白い。西島さんはハマリ役だ。

 NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(2016年)や「この世界の片隅に」(18年、TBS系)などに出演した経歴を持つ子役の来泉ちゃんが、意識不明のまま成長していくという難しい役柄を見事に演じている。

 原作は、東野さんの作家デビュー30周年記念作。堤監督にとって、東野さん原作の映画化は「天空の蜂」(15年)に続く2作目。2年間の物語を2カ月かけて撮影したという。脚本は、「ガール」(12年)などの篠崎絵里子さん。(キョーコ/フリーライター)

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