ゴジラ:アニメ版メカゴジラのデザイン秘話 モチーフはウニ

「GODZILLA 決戦機動増殖都市」を手がけた瀬下寛之監督(左)と造形監督の片塰満則さん
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「GODZILLA 決戦機動増殖都市」を手がけた瀬下寛之監督(左)と造形監督の片塰満則さん

 怪獣映画「ゴジラ」の劇場版アニメの第2章「GODZILLA 決戦機動増殖都市」(静野孔文監督・瀬下寛之監督、18日公開)。第1章「GODZILLA 怪獣惑星」にも一瞬現れた「メカゴジラ」が登場したことも話題になっている。板が積み重なったようなフォルムが特徴で、瀬下監督は「ウニのような棘皮(きょくひ)動物をイメージした」と話す。瀬下監督と造形監督の片塰満則(かたあま・みつのり)さんに、メカゴジラのデザイン秘話を聞いた。

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 ◇メカゴジラは対話不可能なデザイン

 アニメは、2万年もの間、地球に君臨し続けてきたゴジラ・アースと人類の因縁の物語が描かれている。「名探偵コナンから紅の恋歌(ラブレター)」などの静野さんとアニメ「亜人」などの瀬下さんが監督を務める。「魔法少女まどか☆マギカ」「Fate/Zero」などの虚淵玄(うろぶち・げん)さんがストーリー原案と脚本を担当し、「シドニアの騎士」「亜人」などのポリゴン・ピクチュアズが製作する。全3章。

 メカゴジラは、異星人ビルサルドが開発した自律思考金属体ナノメタルによって構成された対ゴジラ決戦兵器。瀬下監督は、アニメ版に登場するゴジラ・アースを植物、神木をイメージしたと説明していたが、メカゴジラについては「いわゆるウニですね」と明かす。「目鼻があり、顔と認識できるものに対しては、大抵の生き物が友人になれそうと感じられるが、ウニは絶対に友人になれない(笑い)。親近感がゼロ、対話不可能」というデザインを考えた。

 メカゴジラを構成するナノメタルは、ビルサルドが開発した究極の金属だ。「一つ一つがメモリー、プロセッサーのようなもの。分子レベルで接合方法が変わる。液体状にねばっとした状態になったり、ものすごく硬くもなる。指令が伝わると、分子構造レベルで変化する。メカゴジラは骨格が存在せず、それぞれ変化したナノメタルパーツがただつながっている。歩いている時もナノメタルが変形しながら動いている」と説明する。

 ◇ビルサルドの独特のデザイン哲学も

 メカゴジラの造形は“ビルサルドの独特のデザイン哲学”もポイントになっている。造形監督の片塰さんは「ビルサルドのマークは五角形を四つ組み合わせた六角形です。数学の平面充填(へいめんじゅうてん)という概念をモチーフにしています。ビルサルドは数学的な構造にこだわりがあり、それが彼らの技術、宗教観につながっている。増殖、同じものを繰り返す再帰的造形の感覚もまた、ビルサルドらしさとしてデザインしている。そうした、キャラクターの特徴と結びついた造形を映画全体で統一することも大事なので、デザインのルール作りを大切にしています」と話す。

 メカゴジラの細部を見てみると、五角形がモチーフになったデザインを確認できる。一方で、瀬下監督は「メカゴジラは、この(ゴジラを模倣した)形である必要性はない」とも話す。「純粋に機能的なデザインを追求するなら、シンプルな球体に無数のトゲが付いているような形でもいい。(メカゴジラを開発した)ガルグは実は愛すべき“中二病”でして(笑い)。地球人との交流が多いこともあり、論理的、合理的に見えて、種族の中で特に感情的。ゴジラに対抗できるゴジラよりカッコいいゴジラを作ろうとしたわけです。一方で、目がどこかにあるか分からないなど、やはりビルサルドならではの感性もあります」と説明する。

 ◇第2章はハルオの卒業を描く

 メカゴジラは、瀬下監督と片塰さんらスタッフが細部まで設定を熟考してデザインされた。瀬下監督は「玩具になればいいな……といつも思うけど、やりすぎると玩具になれない。玩具をしやすくして、アニメーションならではのディテールや外連味(けれんみ)がなくなってはいけないし……」と悩んだところもあったというが、ソフトビニール製フィギュア(ソフビ)「マスターディテール モンスターシリーズ メカゴジラ」(4968円)が、バンダイから発売されることになった。フィギュアは全高約19センチ、全長約45センチで、ギザギザとした形状、長い尾など独特のフォルムをソフトビニールで再現した。

 瀬下監督は、フィギュアのクオリティーに「ソフビの概念を超えたディテールに、驚きました。再現は無理だと思っていたので。このチャレンジは伝説です。バンダイの技術の推移にはガルグもびっくりでしょうね。日本にこんなすごい企業があるんだ!って。いい意味で、バカなんじゃないの(笑い)とも思えるほどです。アニメーションならではの外連味たっぷりの世界を感じ取ってほしいです」と絶賛。片塰さんも「板を積み重ねたようなデザインはソフビでは表現できないと思っていました。メカゴジラのデザインは直角が少ないのですが、そこも再現できている」と驚いている。

 第2章の見どころはメカゴジラだけではない。瀬下監督は「まさに大迫力の怪獣、アクションとして楽しんでいただけると思いますが、(主人公の)ハルオを中心とした人間群像劇に真の面白さがある。虚淵さんの意外性のあるストーリー、静野監督のスピード感のある編集、構成を楽しんでいただけば」とアピールする。

 さらに「第1章はハルオの闘争がテーマでしたが、第2章はハルオの卒業を描きました。何の卒業? 『この支配からの卒業』です(笑い)。ハルオはゴジラを倒すことに執念を燃やしていましたが、そこに大きな変化があるんです」と語る。第2章は、重厚なストーリーに熱いバトルなど見どころ満載だ。

 「マスターディテール モンスターシリーズ メカゴジラ」は、バンダイの公式ショッピングサイト「プレミアムバンダイ」で予約を受け付けている。11月に発送予定。

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