5日(日本時間)に発表される第90回米アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演女優賞など最多13部門でノミネートされている「シェイプ・オブ・ウォーター」(ギレルモ・デル・トロ監督)が、1日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開された。2017年ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。口のきけない女性と謎の生物との愛を描いたファンタジーロマンスで、幻想的な映像と美しくも切ないラブストーリーに魅了される。
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米ソ冷戦時代の1962年。口のきけない孤独な女性イライザ(サリー・ホーキンスさん)の働く米政府の極秘研究所に、ある日、不思議な生き物が運び込まれる。アマゾンの奥地で神として崇められていたという“彼”(ダグ・ジョーンズさん)、奇妙だが寂しげな姿に心引かれたイライザは、隔離されている彼に、ひそかに会いに行くようになる。やがて2人は、心を通い合わせていくが……というストーリー。ほかに、オクタビア・スペンサーさん、リチャード・ジェンキンスさん、マイケル・シャノンさんらが出演する。
声を出せない女性と、人間ではない生き物。会話できない者同士が心を通わせ愛を育んでいく。いや、だからこそ心が通じたというべきか。ともかく、ロマンスはもとより、「人魚姫」や「美女と野獣」といったファンタジーの要素もあり、スパイもの、サスペンスの要素を併せ持つ。いくつもの局面で驚かされ、胸を突かれ、陶酔させられた。
それまで臆病そうに見えたイライザが、自分が愛し、守るべき者が現れたことで強くなっていく。地味だった洋服は赤い色を着るまでになり、優しかった心は一層優しくなっていく。“彼”を守るために勇気を振り絞る雄々しさには心が震えた。
ホーキンスさんはじめ、出演者は、デル・トロ監督自らが脚本を書きながら想定した俳優たちだという。それが見事に奏功している。オスカーにはノミネートされなかったものの悪役シャノンさんの演技はさすがだった。(りんたいこ/フリーライター)
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