ナオト・インティライミ:旅映画のテーマは「原点回帰」 旅の裏技、堤真一や香川真司との親交も語る

ドキュメンタリー映画「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2(前編)」について語ったナオト・インティライミさん
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ドキュメンタリー映画「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2(前編)」について語ったナオト・インティライミさん

 シンガー・ソングライターのナオト・インティライミさんの旅のドキュメンタリー映画「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2(前編)」が公開された。2013年公開の「旅歌ダイアリー」に続く今作では、2017年2月から約半年間に及ぶアフリカ大陸と欧州諸国の全19カ国への旅に密着。18年1月5日公開の後編には、友人であるサッカーの香川真司選手(ボルシア・ドルトムント)とドイツで再会するシーンなども収められている。各国の音楽フェスやカーニバルに参加したことで、「音楽の原点に立ち返った」というナオトさんに、音楽に対する思い、本編のテレビオリジナル編集版「旅歌ダイアリー2 ON TV」(スカパー!)のナレーションを務めた俳優の堤真一さんや香川選手との交遊や旅先でのコミュニケーション術などについて聞いた。

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 ◇「音楽を心から楽しむ旅」を経てリスタート

 ――2015年末の京セラドーム(大阪市西区)公演に始まり、16年1月からはミュージカル31公演、その後はホールツアー37本、夏フェス15本、アリーナツアー11公演と、旅に出る前はかなり多忙だったようですね。

 しかもその間にシングル4曲とアルバム1枚を出しているので。作詞・作曲、アレンジ、セルフプロデュースもやって、すべての楽器のレコーディングやミックスダウンも立ち会うわけだから、もう飽和してましたね。たぶん曲は力づくでもできるんだけど、どんどん自分からあふれてくるから作るという順番ではないし、このままいったらたぶんダメだろうなって。ただ、どのくらい旅に行くのか、半年なのか1年なのか、2年なのかっていうのは悩みましたよ。2年はさすがに忘れられちゃうな、みたいな。

 ――実際に現地の音楽フェスやライブハウスのステージに立って歌うことで、変化はありましたか。

 自分から音楽を心から楽しんでいるという瞬間にもう1回、立ち会うことで「これこれ! ここから始めたんだ」っていうのは多々ありましたね。(現地のライブ会場では)リハが終わってから3、4時間、いい大人が観客のいないところで、ビール片手にギター1本でずっと楽しそうに歌ってるんです。日本だったら、リハが終わったら普通「帰る」ってなるわけですけど、誰に見られてるとかじゃなくて歌いたいから歌うという。それを見て「俺もそうだった!」って変化していく自分を感じました。今思えば、やっぱり(音楽に触れることで)インプットしてたんだなって。今はホントにアイデアがダダ漏れです(笑い)。

 ――映画の主題歌「Sunday」もそんな中で制作されたそうですね。この楽曲に込めた思いは?

 「Sunday」は旅から帰ってまずできた曲。パーティーチューンには違いないんだけど、今までのパーティーチューンはもうちょっとテンポが速かったり、ワーッて気合が入っていたり。でも、旅でちょっと楽になった部分があるので、肩の荷が降りたというか、今、自分がホントに開放的になって作ったというか。半年の旅から帰って「さあアウトプットを始めよう」っていう時にもう(サッカーの)オフサイドで出てきちゃった曲で、そういう意味では主題歌にふさわしいかなって。

 ――映画のテレビオリジナル編集版のナレーションを務めた堤真一さん、映画の後編に出演している香川真司選手とはどんなきっかけで親交を深めたんですか。

 堤のアニキは「神様はバリにいる」(15年公開)という映画で共演して、堤さん、尾野(真千子)さん、玉木(宏)さんの4人で1カ月バリにいたから、もう家族みたいな感じになりましたね。寝る時間以外はほぼずっと一緒で、撮影前も終わってからも一緒にゴハンを食べてるし、毎日飲んでるし。だから10年、20年ぐらいの濃さで距離が縮まったような気がして、もう他人とは思えないです。

 シンジ・カガワ(香川選手)は「Brave」という僕の曲(11年4月発売のシングル)のPVに出てもらうはずが、その数日前に東日本大震災が起こってダメになってしまったんです。でも、それがきっかけで親交が始まって、よくゴハンを食べに行ったり。それで「ドイツに来てくださいよ」なんて社交辞令でよく言ってくれていたのを本気にして行っちゃった、みたいな。「あっ、ホントに来ちゃったんですね」って(笑い)。それで、5日間くらい真司の家に居候してました。

 ◇世界を渡り歩く旅の達人! だが移動の機内では…

 ――1人旅デビューをしたい人にもしアドバイスがあるとしたら?

 バックパッカーデビューをするならタイですね。タイのバンコクにあるカオサン通りは世界中のバックパッカーの聖地みたいな場所で、安い宿がたくさんあって、そこから世界中にみんな旅立って行ったり、長い旅を終えてそこに帰ってくるというターミナル的な通りなんです。俺も前に世界一周に行った時、日本からインドに行きたかったんだけど、インド行きのチケットは高いから、カオサン通りの旅行会社で安いチケットを買ったり。そこで情報を聞いたり、旅を始めたりするのはすごくいいんじゃないかと思いますね。タイは南に行けば島がたくさんあるし、北に行けばチャンマイとかで象に乗ったり、トレッキングもできたりするし。

 ――海外でオススメしたいこと、気をつけたいことはありますか。

 絶対に値切ろう(笑い)。日本人は言った値段をそのまま真に受けて買ってくれる、みたいな成功体験があるんでしょうね。100円のものを1000円で売ろうとするから、そこを交渉するのは大事。「(その値段は)ない、ない」って3回ぐらい帰ろうとすれば、だいたい半額ぐらいにはなります。あと、基本的に寄ってくるヤツは何かしらの下心があるから気をつけたいですね。空港とかバス停に着いて「ヘイ! 〇〇~」ってがっついてくるタクシーの運ちゃんは吹っ掛けようとしている。まっとうなヤツは余裕があるから、後ろで待ってますよ。だから、寄ってくるヤツを選ばずに奥のタクシーの兄ちゃんに交渉を始めるっていうのも結構、大事かも。

 ――なるほど。ところで、昔から飛行機が苦手ということですが、今回の旅で少しは克服しましたか。

 全然していないです(笑い)。していないけど、あきらめがついてきました。基本は、もう毎回おびえてるんですよ。(飛行機の高度が)スンと落ちる時は、周りの人たちが振り向くぐらいの声の大きさで「ハッ」って言っちゃう。でも、毎回それをやっていると疲れてくるなと思って。その国、その町に行きたいから、背に腹は代えられないです。

 <プロフィル>

 1979年8月15日、三重県生まれ、千葉県育ち。20代で515日間かけて28カ国の世界一周の旅をする。2010年にシングル「カーニバる?」でデビュー。13年、アフリカ、南米、カリブ海の旅に密着した旅のドキュメンタリー映画「ナオトインティライミ冒険記 旅歌ダイアリー」が公開。17年11月22日には、旅のドキュメンタリー映画第2弾「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2」の公開に合わせ、映画主題歌「Sunday」を含むコンセプトアルバム「旅歌ダイアリー2」をリリース。映画「旅歌ダイアリー2」は2部作で、後編は18年1月5日に公開予定。

 (インタビュー・文・撮影:水白京)

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