上方(関西)を拠点に浪曲の面白さを広めようと奮闘する東京都出身、かつては「ケイコ先生」で知られた浪曲師、春野恵子さんが、地元・東京での独演会を27日午後7時に紀尾井小ホール(東京都千代田区紀尾井町6)で開く。恵子さんに意気込みを聞いた。
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バラエティー番組「進ぬ!電波少年」(日本テレビ系)の企画「電波少年的東大一直線」で、「東大卒のケイコ先生」として注目された恵子さん。東京でタレントや女優として活動していた恵子さんは、浪曲にハマり、上方浪曲界の第一人者、二代目春野百合子さんに入門。2006年に初舞台を踏んだ。
「ここまで走ってきて10年余り。振り返れば、浪曲師になって、ゼロからスタートして、一歩一歩力を付けようとやってきました。この間、(東京の先輩浪曲師、玉川)福太郎師匠、(国本)武春師匠が亡くなり、(東京の先輩浪曲師・玉川)奈々福お姉さんとお会いするたびに、『この先、浪曲はどうなっちゃうんだろう』と、打ちのめされる思いがありました」と語る。
恵子さんの師匠、百合子さんは昨年10月、89歳で死去。恵子さんとコンビを組む三味線の曲師、一風亭初月さんも、今年7月に大ベテランの師匠、藤信初子さんを失った(享年98)。上方浪曲界に飛び込んだ若手だった恵子さんも、いつの間にか後輩を引っ張る役回りが増えた。
「若手が入門し、後輩ができたことは私にとって頑張ってきた何よりのご褒美。先輩として舞台に立たないといけないし、そこでいつも以上の力が出た気がすることもあります。師匠が亡くなった今、ここでいったん立ち止まって、何をしていこうかと考えているところです」と話す。
10年を機に昨年から始めた半年ごとの独演会。「浪曲はぜいたくな芸能だと思います。一人の浪曲師がいろんな役を演じ、物語にどんどん身を委ねる……。そこが浪曲の心地よさ、はまっていくところで、リズムに引き込まれてしまう。そこをぜひ体験していただきたい」とメッセージを送る。
公演についての問い合わせは事務局(06・6941・7512)。詳細はブログ(http://blog.goo.ne.jp/keiko-haruno)で。【油井雅和】