PS4の普及が順調で、PSVRも品不足状態になるなど、ソニーのゲーム事業を担当するソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の業績が好調だ。その原動力は欧米市場だが、一方日本市場はスマホゲームに押され、家庭用ゲーム機市場の苦戦が続いている。SIEの日本市場を統括する社内カンパニー「SIEジャパンアジア」(SIEJA)の盛田厚プレジデントに話を聞いた。
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――欧米で好調のPS4だが、日本市場では今ひとつだ。
私が2年前に着任したときは、日本向けのゲームソフトが少なく、いろいろなタイトルを発売した。コアなゲームファンに売ることは達成できたが、もちろん満足していない。昔のゲーム機は、子供のいる家庭にほぼあったから、(PS4は)PS2並みの普及を目指したい。7月には「ドラゴンクエスト(ドラクエ)11」も出てくる。(開発中の)「みんなのGOLF」のようなファミリー層向けのタイトルも提供し、カジュアルユーザーを拡大していきたい。ゲームファンの拡大、訴求する活動は今後も強化してやる。
――任天堂が唱える「ゲーム人口の拡大」と同じ?
同じだが、任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」と戦うということではない。任天堂も「ゲーム人口の拡大」のプロモーションはやるだろうし、「ゲーム人口の拡大」を推し進めていけるから良いことだと思う。もちろん、PS4をきちんと売っていきたい。ゲーム体験だけでなく、(ゲーム以外のコンテンツである)ノンゲームへ訴求もしていきたい。
――ノンゲームの訴求とは。
エンターテインメントのボーダー(境界)は、なくなったと思っている。ソニーグループには、ゲーム以外のエンタメの会社はたくさんあり、それらを最適に楽しめるデバイスがPS4だ。笑われるかもしれないが、「一家に一台のPS4」を目指したい。
――PSVRが、発売から半年後でも完売状態。意図的に商品を絞っている?
発売前の需要が読みきれず、我々も考えて作ったが、結果として需要が追いついていなかった。その点は申し訳ないと思っている。コンサバティブ(保守的)と言われると、我々が用意していたより売れたわけで、そういうことになる。生産体制も増強し、時期についてはできるだけ早いタイミングとしかいえないが、今後は徐々に解消していくと思う。
――VRの熱は冷めているように思えるが。対策は考えているか。
広い層に受けるキラータイトルは、必要だと思っている。VRというテクノロジーは、ゲームの中に入って遊べる「ゲーマーの夢」というだけでない。映像を360度見回せるイノベーションと思っている。今年一気に(売り上げを)跳ね上げる(一過性の)ものでなく、どうやったらテレビと同じように普及できるかを考えなくてはいけない。PSVRは「どこでもドア」「タイムマシン」と思っている。
――テレビ並みになれるのか。
VRは、そういう技術だと思う。テレビが進化してモノクロからカラーになったように、VRもそこまで持っていくように頑張らないといけない。それはソニーの責任だと思っている。
――携帯ゲーム機「PSVita」の戦略は?
戦略は答えられない。PSVitaは、「マインクラフト」や「ドラゴンクエストビルダーズ」のおかげで、(ソニーのゲーム機が弱いとされる)子供への拡大はできた。子供へリーチする重要なプラットフォームで、今年は力を置いてやっていきたい。
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