俳優の藤原竜也さんが連続殺人犯に扮(ふん)した映画「22年目の告白-私が殺人犯です」(入江悠監督)が10日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで公開される。時効に“守られた”藤原さん演じる殺人犯と、当時事件を担当した伊藤英明さん演じる刑事、大切な人を殺された被害者遺族の思惑が、サスペンスフルに展開していく。藤原さんの“怪演”はもとより、二転三転する物語に目がくぎ付けになった。
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1995年に発生し未解決のまま時効を迎えた連続殺人事件の犯人・曾根崎雅人(藤原さん)が、22年後、自分の告白本の出版記者会見に姿を現した。事件当時、曾根崎を逮捕寸前で取り逃がした刑事の牧村航(伊藤さん)は、フラッシュを浴びて不敵な笑みを浮かべる曾根崎に憎悪の念を募らせる。愛する者を曾根崎に奪われた被害者遺族は復讐(ふくしゅう)に動き出し……というストーリー。被害者遺族を夏帆さん、岩松了さん、岩城滉一さん、報道番組のメインキャスター仙堂俊雄を仲村トオルさんが演じる。野村周平さん、石橋杏奈さん、竜星涼さん、早乙女太一さん、平田満さんらも出演している。
曾根崎の厚顔無恥ぶりに心底あきれた。目を見張ったのは、報道番組に出演した際の、曾根崎と牧村、仙堂のやりとりだ。曾根崎を厳しく追及する仙堂と、その質問をのらりくらりとかわす曾根崎。曾根崎への怒りをふつふつとたぎらせる牧村。3人の醸し出す緊迫感は尋常ではない。さらに想定外の事態が待ち受け、まさに手に汗握るシーンとなった。
被害者遺族を愚弄するような曾根崎の態度、それを面白がりSNSで拡散させる大衆、曾根崎人気にあやかり部数や視聴率を稼ごうとする出版社やテレビ局など、現実でもすでに起きている事柄も散見される。その点で、今作は一級のサスペンス劇というだけでなく、さまざまな問題を喚起する社会派作に仕上がっている。(りんたいこ/フリーライター)
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