ダンダダン
第5話「タマはどこじゃんよ」
10月31日(木)放送分
女優の有村架純さんが出演した映画「3月のライオン」(大友啓史監督)2部作の前編が18日に公開される(後編は4月22日公開)。今作は将棋を題材にした人気マンガの実写化で有村さんは、神木隆之介さんが演じる高校生プロ棋士の零が事故で両親を亡くし、引き取られた幸田家の長女・香子を演じた。香子もプロ棋士を目指していたが零に負け、父にその夢をあきらめさせられたことで2人に対して複雑な感情を抱いている。「これまでにない役柄で新しい引き出しを引っ張り出してくれた」と語る今作での演技や女優としての生き方などについて聞いた。
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映画は、羽海野(うみの)チカさんの人気マンガを実写化。ある日、同じ下町に住む川本家の3姉妹と出会った高校生のプロ棋士の零が、数々の対局と人々との交流を通じて、棋士として、人として、成長していく姿が描かれる。主人公・零を神木さんが演じるほか、倉科カナさん、染谷将太さん、清原果耶さん、佐々木蔵之介さん、加瀬亮さん、伊勢谷友介さん、前田吟さん、中村倫也さん、奥野瑛太さん、新津ちせちゃん、豊川悦司さんらも出演する。有村さんが演じる香子は、豊川さんが演じるプロ棋士・幸田柾近の長女で、プライドが高く気性が激しい性格の役どころだ。
香子は、プロ棋士を目指していたが、両親を事故で亡くした零を預かった幸田家で零や弟と切磋琢磨(せっさたくま)するうちに、零に勝てないならプロは無理だとあきらめさせられ、父と零に愛憎半ばの感情を抱いている。父の弟弟子であるプロ棋士の後藤(伊藤英明さん)を好きになり、不倫関係を続けているという役どころ。
有村さんは今作の役のオファーが来たときの印象を「原作のファンの方や、アニメも今、放送してますから、その印象が強くなっていると思うし、受け入れられるかがとにかく不安でしたね」と心配していたことを明かす。原作マンガは「お話があってから読みました」といい、「将棋の話と聞いていたのでちょっとお堅い感じかなと思っていたら、全然違って、将棋がベースになって広がっていくヒューマンストーリーだったので、温かくなったり、切なくなったり、本当に感情が動かされる作品でした」と素直に感動した。
将棋はやったことがなかったというが、「女性で将棋の道を通る方って少ないのかなと思いますけれど、今回その世界に触れてみて、本当に頭を使うし、こんなに自分と向き合わされるものなんだなということは、すごく感じました。個人の戦いなので孤独ですよね。どの仕事もそうだと思うんですけれど、よりそれを感じましたね」と話す。
今回、有村さんが演じた香子はいままでの有村さんの演じてきた役柄とはイメージが異なる気性の激しい女性。初めて演じる役どころに有村さんは「すごく楽しみにしていた役柄で、2年ほどずっと正統派な役柄が続いていたので、自分としてもちょっと迷っていた時期で、煮詰まっていた部分があったので、いつもの方向ではないガラリと違う役柄を演じられるのは自分としても新鮮だったし、すごく楽しかったです」と目を輝かせる。
演じているときも楽しかったといい、声の出し方や表現の仕方なども「いつもと違った感じでやってみたんですけれど、それが変に映ったらどうしようかなと心配でした。(他の出演者の)皆さんとのバランスも分からないし、一人だけやり過ぎみたいになったらどうしようと思ったけれど、(完成した映画を見て)そういうのはあまり気にならなかったのでよかったなと思います」と胸をなで下ろす。
原作で「本当に気性が荒くて、もちろん色気もあって、気になる存在」と感じた香子を「ちゃんと人間味がある香子になったらいいなと思いながら演じていました」という有村さん。香子は零の部屋のベッドの上で急にブラウスを脱いで挑発するようなシーンもあるが……。「零に対する気持ちは確かに難しかったですね。ただ、なんでそんなに嫌いな人なのに歩みよるのかというと、彼女も彼女なりに零と向き合おうとしていて、だけど真っすぐにはなれないから、ああいう(ゆがんだ)形になってしまうんだと思うんです。気晴らしに零で遊んでいる部分もあるし、一人になりたくないから、(誰かの)そばにいってしまうというか……。彼女の中でいろんな気持ちと闘っている。彼女も深い闇がありますね」と笑う。
豊川さん演じる父には夢をつぶされ、反抗的な態度を取る。「あまり関係性がいい2人ではないので、気を使ってくださったのか、(現場で豊川さんが)距離を置いていてくださって。私も集中していたのであまり会話はなかったんです」と役柄と同様に距離を置いた。伊藤さんが演じる後藤とは不倫関係だが……。「(伊藤さんが演じる)後藤は強面(こわもて)ですけれど、現場の伊藤さんはそんなことなくて、わいわいと周囲で将棋の練習をされている声とかも聞こえてきて、すごくフランクな方でした」
有村さんが考える香子としての見どころは? 「自分の中では香子の本当の気持ちというのを考えながら零といたし、後藤さんといたし、お父さんさんといたので、それが前編・後編通して初めて香子の軸というものが完成するので、全体を通して(香子を)見てほしいなと思います」とアピールする。作品全体としては「前編・後編で『3月のライオン』が完成します。2編合わせてぞれぞれの生きている姿が凝縮されていると思うので、前編・後編で見応えはめちゃくちゃある作品だと思います」と表現した。
有村さんにとって「3月のライオン」は、「一つの引き出しを香子が引っ張り出してくれたと思います。やっぱりこういう自分とは全然違う役柄もどんどんやっていきたいとさらに思わせてくれた作品でもありますね」と前向きに語った。
次回は10年後の自分について、また休日の過ごし方や女性として輝く秘訣(ひけつ)について聞く。
<プロフィル>
ありむら・かすみ。1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。2010年に女優デビュー。13年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で人気を博し、「映画ビリギャル」(15年、土井裕泰監督)で、第39回日本アカデミー賞優秀主演女優賞と新人俳優賞を受賞。さらに同作と「ストロボ・エッジ」(15年、廣木隆一監督)でブルーリボン賞を獲得する。そのほか主な出演作は、声の出演の「思い出のマーニー」(14年、米林宏昌監督)、「アイアムアヒーロー」(16年、佐藤信介監督)、「僕だけがいない街」(16年、平川雄一朗監督)、「何者」(16年、三浦大輔監督)など。公開待機作に「関ケ原」(17年、原田眞人監督)、「ナラタージュ」(17年、行定勲監督)がある。4月から放送のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」で主演を務める。
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