人気ライトノベル「ソードアート・オンライン(SAO)」(電撃文庫)の初の劇場版アニメ「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」(伊藤智彦監督、2月18日公開)に声優として出演する歌手で女優の神田沙也加さん。物語のカギを握る“歌姫”のユナを演じ、劇中歌も歌う。ディズニーの劇場版アニメ「アナと雪の女王」の日本語吹き替え版で王女・アナの声優を務め、2015年第9回声優アワード主演女優賞を受賞したことも話題になった神田さんは、アニメやゲームが好きで、芸能界デビュー前から声優になることを夢見ていたという。声優を目指すきっかけはゲーム「ときめきメモリアル」だったといい、「声優はいつまでも一番やりたいこと」と話す。声優という仕事、「SAO」への思いを聞いた。
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「SAO」は、川原礫さん作、abecさんイラストのライトノベル。シリーズ累計発行部数は全世界で約1900万部を誇る。仮想空間への接続機器によってバーチャルリアリティーを実現した近未来を舞台に、さまざまなオンラインゲームを取り巻く事件が描かれている。テレビアニメ第1期が2012年7~12月、第2期が14年7~12月に放送された。劇場版は、川原さんが書き下ろしたオリジナルストーリーで、次世代ARデバイス・オーグマーが開発され、そのキラーコンテンツとなった専用ゲーム「オーディナル・スケール」に主人公キリトやアスナたちが参戦する。
神田さんは劇場版の参加が決まる前から「SAO」を見ていたといい、「練習用の映像にアスナちゃんやキリト君の声が入っていて、『はぁ! 新作をいち早く見ている!』と興奮しました。やっぱり、アスナちゃんが好きだし、シリカちゃんも好き。沢城(みゆき)さんが大好きなので、シノンちゃんも好きなんです」と作品愛をあふれさせる。
神田さんが演じるユナは、「オーディナル・スケール」のAR(拡張現実)アイドルという設定。ゲーム内でユナのステージに遭遇すると、特殊な効果を得ることができる。神田さんはキャラクタービジュアルを見て「可愛くて、アニメ好きとしてはうれしいですね。ワクワクしていました」とテンションが上がったよう。
演技については「アイドルは、見ているお客さんをうれしくさせたり、楽しくさせられるもの。それを大前提として魅力的に見えるようにしました。また、小悪魔的に見えるように……というお話だったので、そこも意識しました。狙っていない小悪魔さを嫌みなくやりたかった。また、専門的な用語がたくさんあるので、きちんと聞こえるようにしたかった」と苦労も明かす。
ユナは“歌姫”であることから、劇中では歌も披露する。歌手でもある神田さんは歌も担当しており、「アイドルっぽい楽曲もあったり、いろいろな楽曲があります。ポップス寄りのキャラクターソングは初めて」と語り、レコーディングについては「曲が本当によくて、『さらによく聴こえるようにしたい!』という気持ちでした。ユナの可愛らしいビジュアルを見て、どの声質が合う、合わないかが導き出されました。普段はやらない唱法で歌った曲もあります」と打ち明ける。
神田さんは「アナと雪の女王」の日本語吹き替え版で王女・アナの声優を務め、15年の第9回声優アワード主演女優賞を受賞。テレビアニメ「貧乏神が!」「銃皇無尽のファフニール」などにも出演経験があるが、「デビュー前から声優をやりたかったんです」といい、「デビューしてからは、やっぱり無理だから、来世で……と思っていた。でも、やっぱりやりたい!となり、所属事務所と相談して、(声優専門の)スクールに行ったんです。いつでもできるように勉強しておこうとした。諦めなくてよかったです」と明かす。
そもそも声優を志したのは小学生の頃だった。「スーパーファミコン版の『ときめきメモリアル』をプレーしていて、 藤崎詩織ちゃんと虹野沙希さんが好きだったんです。せりふをまねするようになって、似せることを意識していた。音を消して、自分でせりふをしゃべっている時に、何か変だ!?と感じたんです。声があって、しゃべっているからキャラクターが生きている感じがするんだ! 声優さんってすごい!と気付いた。キャラクターに命を吹き込む大事な役割をやってみたいと思うようになったんです」と振り返る。
神田さんは舞台などで女優としても活躍している。声優との違いを「舞台では、どんなにメークをして、化けても限界がある。アニメは見た目が全然違うものになれる。変身願望がすべて満たされるんです。例えば、『SAO』のユナはアイドルですが、アイドルはいろいろなことができないといけないうイメージがあります。私はそんなに器用ではない。自分自身では無理なことでも、キャラクターのビジュアルがあると怖くない」と語る。
「少年役や(『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城)ミサトさんみたいなお姉さんもやってみたい。声優はいつまでも一番やりたいことですね」と意欲も燃やす神田さん。「SAO」の演技はもちろん、今後の声優としての活躍もますます注目を集めそうだ。
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