竹内涼真:仮面ライダー俳優が高校球児に サッカーへの思いを「役に乗せた」

出演した映画「青空エール」について語る竹内涼真さん
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出演した映画「青空エール」について語る竹内涼真さん

 女優の土屋太鳳さんと俳優の竹内涼真さんが部活動で高みを目指す高校生役を演じる青春映画「青空エール」(三木孝浩監督)が20日に全国公開された。今回、初めて野球に挑戦したという竹内さんは、圧倒的な爽やかさと好青年ぶりで、高校球児を演じている。竹内さんに今作への思いを聞いた。

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 ◇実は「恥ずかしがり屋」 爽やかさの秘密は…

 竹内さんは、2013年に女性ファッション誌の男性専属モデルオーディションでグランプリを獲得し、芸能活動をスタート。185センチの長身と爽やかなマスクで、2014年の特撮ドラマ「仮面ライダードライブ」で主演して人気を博したほか、15年に大ヒットした連続ドラマ「下町ロケット」(TBS系)で、若手開発者のリーダーを演じた注目の若手俳優の一人だ。

 「青空エール」は、マンガ家の河原和音(かずね)さんの人気マンガが原作。甲子園のスタンドで野球部を応援することを夢見て、名門の吹奏楽部に入部したトランペット初心者の小野つばさ(土屋さん)と、名門野球部のキャッチャー山田大介(竹内さん)が励まし合いながら、共に甲子園を目指す……というストーリー。

 竹内さんが演じた大介は、何度も挫折しそうになるつばさを繰り返し勇気づけるという役どころ。ストイックに甲子園を目指しながら、仲間を大切にする優しい青年で、真っすぐなまなざしが印象的だ。

 取材中も質問者の目をしっかりと見て、明快に受け答えをした竹内さん。「爽やかって言ってもらえるのはうれしいです。でも中身は大して爽やかじゃないですよ」と謙遜(けんそん)する。

 「恥ずかしがり屋で、格好をつけることがあんまり好きじゃないんです。自分のコンプレックスが先に出しちゃう」と照れたように語り、「子供の頃から祖母や親戚と過ごすことが多くて、大人と触れ合っていたので、人見知りがなくなったことや、サッカーをやっていたことで、短い時間で自分の感情を分かってもらうための習慣がついて、(感情が)分かりやすいからかな」と“爽やか”と評価される理由を自己分析する。

 ◇試合に出られなかったサッカーへの思いを「役に乗せた」

 竹内さんは、今回、野球に初挑戦。甲子園を目指す野球部員を演じるために、撮影の約3カ月前から、練習に励んだ。

 「まずボールの握り方や、キャッチボールから教えてもらいました。教え方が上手なコーチだったので、上達が早かったですね。ただ自分流の形を作ることは、3カ月間では無理。うまい人の姿を見て自分の中に入れて、そこに感情を乗せて、ということを何回も繰り返しました」と振り返る。

 また自身は長年、サッカーをプレーしていたものの、高校3年間は試合に出られず、「サッカーに対してネガティブに生きてしまった」と当時を明かし、その思いを役に投影した。「試合に出られなかった気持ちを、この役(大介)に乗せたかった。グラウンドに立って、自分の応援歌を歌ってもらって、自分の名前を呼ばれるって、スポーツをしていたら、絶対にしてもらいたいこと。僕はあまり機会がなかったので、グラウンドに立ってプレーできたのがうれしかったです。特別な感覚でした」と思いをはせる。

 一方、大介役は「難しいところもたくさんあって、役に負けそうになった」と繰り返す竹内さん。「初めて行き詰まった」ともいい、「これまでは『自然に』をテーマに演じてきたけれど、マンガのキャラクターは、現実にはいそうでいないし、せりふも言いそうで言わない。そこに魅力があるんですけど、たまにテンションや気持ちが追いつかないときがあって……」と、マンガ原作の作品ならではの壁にぶつかった。

 その局面から抜け出すきっかけは「気負いすぎず、役をまとうぐらいの感覚の方がいい」という三木監督らのアドバイスだった。その言葉で、マンガのキャラクターと自分をリンクさせて「役に入り込めるように」なったという。また今回、初めて本格的に共演した土屋さんとも「(演技について)2人で一生懸命、話し合いました。難しいシーンは何回も付き合ってもらいました」といい、初めてトランペットに挑戦した土屋さんと「試合のシーンの撮影ではグラウンドとスタンドから応援し合うこともありました」と、映画さながらに励まし合ったという。

 ◇将来はヒーロー役のエキスパートに

 竹内さんは、これまで「あまり野球を見たことがなかった」というが、一転、今は野球好きになったという。インタビュー前日には、土屋さんと、取材を兼ねて甲子園で中京(岐阜)対大分(大分)の試合を観戦したといい、「みんながあの場所(甲子園)を目指す意味が分かりました。体験したことのない雰囲気だったし、見ている自分がぞくぞくする。頑張っている彼らを見ていたら、涙が出そうになった」と心が動いたようだ。

 自身は、サッカーをやめたあと、昔から好きだったというドラマや映画の世界へ飛び込んだ。今後は「役の幅を広げたい」と話しつつ、「僕はマーベルコミックスとかの、ヒーローものの映画が好きなんです。やりたい役は、人を助ける役やヒーロー。『竹内だったら、そういう役は絶対に大丈夫だ』と思わせたい。自分のことを見て元気になってもらえたり、僕を見てこの仕事をやりたいと思う人が増えたりするようになりたいです」と真っすぐなまなざしで熱い思いを語った。

 <プロフィル>

 たけうち・りょうま。1993年4月26日生まれ。東京都出身。2013年に女性ファッション誌「mina(ミーナ)」(主婦の友社)の初めての男性専属モデルオーディションでグランプリを獲得し、芸能活動をスタート。14年の特撮ドラマ「仮面ライダードライブ」で泊(とまり)進ノ介を演じて主演し、人気を博した。15年には連続ドラマ「下町ロケット」(TBS系)に出演。今年は連続ドラマ「スミカスミレ 45歳若返った女」(テレビ朝日系)、「臨床犯罪学者 火村英生の推理」(日本テレビ系)、「時をかける少女」(日本テレビ系)に出演。

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