藤田富&武田玲奈:「仮面ライダーアマゾンズ」語る 「生きる意味が湧き出してくるような作品」

「仮面ライダーアマゾンズ」について語った藤田富さん(左)と武田玲奈さん
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「仮面ライダーアマゾンズ」について語った藤田富さん(左)と武田玲奈さん

 特撮ドラマ「仮面ライダーアマゾン」のリブート(再起動)作として、Amazonの動画配信サービス「Amazonプライム・ビデオ」で配信中の「仮面ライダーアマゾンズ」のテレビ版が、3日から放送を開始した。「仮面ライダーアマゾンズ」は、「仮面ライダー」シリーズ生誕45周年を記念し、主人公と“アマゾンを狩る男”を中心に、アマゾン誕生にまつわる謎やアマゾン退治を行う“駆除班”なども絡んだダークでシリアスな物語が展開する。主人公の水澤悠(仮面ライダーアマゾンオメガ)を演じる藤田富さんと、悠が養子として引き取られた水澤家の娘で女子高生の美月を演じる武田玲奈さんに話を聞いた。

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 ◇出演が決まるも「変身する役かどうか不安だった」

 今作の基となった「仮面ライダーアマゾン」(1974~75年放送)のイメージは、92年生まれの藤田さんと97年生まれの武田さんは、共に「聞いたことがある程度」という認識だったという。藤田さんは監督から「影響されるから見るな」と言われていたが、「最初は見なかったのですが、途中でちょっと見ちゃって……」と打ち明け、「1話しか見ていないのですが、ずっと上半身が裸で、なんか追いかけ回されていて、言葉が分からないのに子どもとはなんとなく交流できている。1話目から謎が多い作品だなというイメージでした」と印象を語る。聞いていた武田さんは「見るなと言われたので、私は見なかったです」と笑顔で語る。

 「仮面ライダー」シリーズへの出演について、藤田さんは「過去2作のオーディションを受けて落ちている」と切り出し、「去年の12月ぐらいにお話をいただいて、オーディションのような面談があったのですが、本当に最後のチャンスという思いでした」と振り返る。そして出演が決まった際には、「出演が決まったと言われたのですが、変身する役かどうかが本当に不安だった」と当時の複雑な心境を明かし、「面談で読んだ役が引きこもりの役。引きこもりが変身するわけないと思っていたので、台本をいただいて(自分の)名前が最初にあり、『変身するんだ!』と思ってびっくりしました」と台本で配役を確認し、ようやく実感したという。

 一方、武田さんが「私もオーディションを受けて落ちたことがある」と明かすと、「そうなんだ!」と藤田さんも驚く。「オーディションでは全然うまくできなくて受かるとは思っていなかったんですけれど、合格してすごくびっくりした」と武田さんは話し、「あの『仮面ライダー』に出られるんだと思うと、いろいろ不安はありましたが、すごく楽しみというのが大きかったです」と笑顔を見せる。

 ◇藤田も武田も実体験を役作りに生かす

 藤田さんが演じる悠は、体が弱くて定期的な薬を欠かせず、家の外に出してもらえないという引きこもりだが、谷口賢志さん演じる鷹山仁(仮面ライダーアマゾンアルファ)と出会うことで変わっていくという役どころ。「引きこもりというところに共感しやすかった」と話す藤田さんは、その理由を「僕自身も小さい頃から『勉強しろ』と言われて、習い事も勉強のためにやめたりしていたので、悠の気持ちがなんとなく分かるという思いがありました」と説明。続けて、「大学に入って、今は役者の道を好き勝手に行っているので、悠が内に秘めた気持ちで自分を動かして……というのがちょっと似ているなと」と実体験が生きたと語る。

 悠の境遇を誰よりも心配し、悠のことを心のよりどころとしている美月を演じた武田さんは、「美月はすごくいじめられて殻に閉じこもっているという感じ」と自身の役を説明し、「美月まではいかないですけれど、殻に閉じこもっているというのは自分にもちょっと重なるかなと思った」とオーディションに続いて、藤田さんと似たケースであることを明かす。すると藤田さんが「でも(美月のように)いじめられてはなかったでしょう?」と心配すると、「そうですね。そこまではないです」と武田さんはほほ笑む。

 そんな武田さんの印象について、藤田さんは「しゃべる印象がなくて、現場でも全然しゃべらず、おとなしくてスッとした子だなと」と感じたといい、「だから美月のイメージが湧きやすかったんですけれど、(高井望役の宮原)華音ちゃんとは意外とベラベラしゃべっていました(笑い)」と暴露する。しかし、「でも自分に対しては壁を感じました……」と藤田さんが言うと、武田さんは「(壁を)作っていたわけではないですけど、初対面の人にはちょっと、こう……人見知りなので」と申し訳なさそうにしていた。

 ◇ウェブドラマだから可能な表現がテレビ版でどうなるか楽しみ

 藤田さんは役作りを、「石田(秀範)監督には『一人の人間としていろんなドラマがあるから、仮面ライダーをやるとは一切思うな』と言われて演じてきた」と語り、「先がまったく僕らも読めず、台本が上がってくるのが毎回楽しみだったし、ストーリーが現実的にもしかしたら本当にあるかもしれないなという思いでいた」と振り返る。

 さらに変身シーンの撮影の進め方に関して、「変身してスーツアクターさんと変わるのですが、スーツアクターさんが(所定のポーズで)止まって、ディレクターさんたちが顔や手の位置を決め、そのままそこに僕が入ったりして、意外とアナログな感じで撮るなと思った」と説明。現場では「これで変身したのかな、変身解除になったのかなとか、なかなか想像つかなかった」というが、「実際に映像を見たときに『すごい!』と。やっぱり丁寧に作るからこそ、本当にきれいな変身ができるんだなと思い、びっくりしました」と完成度に驚く。

 武田さんも「現場では分からなかったものが映像を見て分かるので、戦闘シーンとかを映像で見ると、『すっごくかっこいい!』と思って感動しました」と目を輝かせ、「人間ドラマがしっかりあって面白いし、ハードな内容や戦闘シーンなど出てきて、大人でも楽しめるなと」と力を込める。

 再編集したテレビ版の放送が決定したが、「あるシーンで谷口さんが渾身(こんしん)の一発をかまして、『最高、オーケー!』となったのですが、『これテレビでは使えない』と言われた」と藤田さんは切り出し、「現場も笑っていて、テレビ用も撮っておこうかみたいなノリになるかと思いきや撮っていないので、どうなるのかなということもある」と明かす。さらに、「いろんなシーンが、どこがテレビでできてできないのかということや、作品がどう成り立つのかというのが楽しみ」と期待を寄せる。

 新撮したオープニング映像についても、「撮った限りではとんでもないものが出来上がっているので、それはテレビでしか見られない」と自信たっぷりに話し、「配信で見た人ももう一度楽しめます」と力説する。

 ◇今作を通してヒーロー像が変わった

「仮面ライダー」という作品の魅力を、「僕が見ていたのは『アギト』や『クウガ』ですが、人間ドラマがあって、子どもながらもいろいろ考えさせられたというイメージ」と藤田さんが話すと、武田さんは「やっぱりカッコいい。戦っているシーンとか、『アマゾンズ』を見ても思いますけれど、やっぱりすごくカッコいいなあと思いながら見ていたし、そういうのは小さい頃には憧れると思う」とカッコよさに焦点を当てる。

 自身が思うヒーロー像を聞くと、藤田さんは「(困っている人を)助けるとか、めちゃめちゃ優しいとか完璧な人間がヒーローだというのがあったのですけど、『アマゾンズ』をやって違うなと思った」と切り出し、「完璧にこなしているヒーローも、実は裏で努力をしていたり、嫌な面があったりするのを自分で抑えていたりしていたことを、『アマゾンズ』を通して感じました。だから、人間味がありつつも、それに葛藤しながら頑張れる人が、ヒーローなんじゃないかなと」と持論を語る。

 藤田さんの発言にうなずいていた武田さんだが、「私はヒーローはずっとヒーローでいてほしいし、ずっとかっこいいままでいてほしい(笑い)」と女性らしい意見を述べ、「陰で努力しながら、みんなの前ではヒーローであり続ける、そんなふうになれたらいいと思います」と思いをはせる。

 今作の見どころを「今までとはちょっと違った結構ダークでシリアスなドラマ性のあるストーリーですが、結構ハードなものもあるアクションもすごくカッコいい」と武田さんは言い、「小さい頃に『仮面ライダー』を見て育った人が、また大人になって『仮面ライダー』を見るとか、大人も子どももいろんな方に見てほしい」とアピールする。

 そして藤田さんは「登場する全員が欠かせないスパイスになっていて、老若男女、誰が見ても、どれかしらのキャラクターに感情移入ができる作品になっていると思います。この作品は人が生きることってなんだろうというメッセージを語りかけているので、自分が生きている意味とかが心の内から湧き出してくるような、すてきな作品だと僕は思います」と力を込め、「お疲れの方とかに見ていただいて奮起する材料になっていただけたら出演者としては、超幸せです!」とメッセージを送った。

 「仮面ライダーアマゾンズ」のテレビ版は、BS朝日で3日から毎週日曜深夜1時に放送。TOKYO MXで6日から毎週水曜午後10時半に放送される。全13話。

 <藤田富さんのプロフィル>

 1992年4月14日生まれ、大阪府出身。2012年頃からサロンモデルとして活動し、現役医大生モデルとして注目を浴びる。「WEGO」専属契約モデル、「SamuraiELO」専属モデルなどを務める。15年に「大正浪漫探偵譚-東堂探偵事務所-」で舞台デビューするなど、モデル、俳優、タレントとして活躍している。主な出演作に舞台「真っ白な図面とタイムマシン」(15年)、「不知森の神石」(15年)、「ざ☆くりもん」 (16年)、ドラマ『恋の三陸 列車婚で行こう!』(NHK)、映画「スリリングな日常」(16年)などがある。

 <武田玲奈さんのプロフィル>

 1997年7月27日生まれ、福島県出身。2013年に「Ameba Candy Collection 第2のくみっきー!発掘オーディション」でグランプリを受賞し、女性向けファッション雑誌「Popteen」のレギュラーモデルとしてデビュー。15年公開の映画「暗殺教室」で女優デビューを果たし、同年に放送されたドラマ「監獄学園-プリズンスクール-」(MBS・TBS系)で地上波の連続テレビドラマに初めてレギュラー出演し注目を集める。現在、雑誌「non-no」の専属モデルを務める。主な出演作に、ドラマ「表参道高校合唱部!」(TBS系)、「ラヴソング」(フジテレビ系)、映画「罪の余白」(15年)、「のぞきめ」(16年)、「オオカミ少女と黒王子」(16年)など。今月、ゲスト声優を務めた劇場版アニメ「ONE PIECE FILM GOLD」の公開を控える。

(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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