注目映画紹介:「燐寸少女 マッチショウジョ」 SKE48・佐藤すみれ初の単独主演 妄想渦巻くダークな物語

「燐寸少女 マッチショウジョ」のワンシーン(C)2016「燐寸少女 マッチショウジョ」製作委員会
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「燐寸少女 マッチショウジョ」のワンシーン(C)2016「燐寸少女 マッチショウジョ」製作委員会

 アイドルグループ「SKE48」の佐藤すみれさんの主演映画「燐寸少女 マッチショウジョ」(内田浩監督)が28日に公開される。今作は、アンデルセンの童話「マッチ売りの少女」をモチーフとした鈴木小波さんのマンガが原作で、謎の少女から寿命と引き換えに人間の心に潜む妄想を具現化する“妄想燐寸(マッチ)”を渡された人々が巻き込まれていく騒動を描く。心に闇を持った人の前に現れる謎の少女・リン役で佐藤さんが初の単独主演を務めるほか、東海エリア発の男性10人組ユニット「BOYS AND MEN」の小林豊さんや本田剛文さん、アニメ「黒子のバスケ」などの声優・小野賢章さんらも出演している。

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 高校で“ウジ虫”と呼ばれ、イジメを受けている氏家治(本田さん)は、自分も女子にもてたい、彼女がほしいと願うあまり、イケメンで人気者のクラスメートが害虫になれと妄想する。一方、美大生の岸田叶人(小野さん)は「二画展」に3年連続入賞を決めるが、さらに上を目指して「東都展」への出品を決意するが、周囲が自分の才能をどう思っているのか気になり、心の中をのぞくことができないか妄想。そんな心に闇を抱えた人々の前に謎の少女・リン(佐藤さん)が現れ、寿命1年と引き換えに妄想を具現化する“妄想燐寸”を売っていき……というストーリー。

 妄想を具現化してみたいということは、きっと多くの人が考えたことがあるかもしれない。この映画は、まさにその“妄想を具現化”したストーリーが展開されていく。原作のモチーフとなっているのは「マッチ売りの少女」だが、果たしてマッチをすることで夢を見ることは幸せなことだろうかという疑問提起に、どこか薄ら寒さを感じるのは気のせいではないだろう。ごく普通の人間が特別なマッチを渡されることでまぎれ込んでしまう非日常は、ある種のカタルシスを得られる半面、耐え難い闇を映し出すことにもなってしまうのかもしれない。主演の佐藤さんが物語の中で唯一、異質な存在であるリンをミステリアスに好演し、ダークな世界観に説得力と彩りを出している。妄想や想像は楽しく、誰しもがする行為だが、現実になることはいいことなのか……。それこそ妄想して楽しみたい。28日からシネ・リーブル池袋(東京都豊島区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。


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