林遣都:dTV「テラフォーマーズ/新たなる希望」出演 「役を掘り下げているかを試されている現場」

出演したdTV「テラフォーマーズ/新たなる希望」について語った林遣都さん
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出演したdTV「テラフォーマーズ/新たなる希望」について語った林遣都さん

 オリジナルドラマ「テラフォーマーズ/新たなる希望」が、定額制動画配信サービス「dTV」で配信中だ。今作は、貴家悠さん作、橘賢一さん画の人気マンガを基に、俳優の伊藤英明さん主演で実写化した映画「テラフォーマーズ」(三池崇史監督)と連動したドラマだ。伊藤さんや武井咲さんら映画のキャストのほか、林遣都さん、菅谷哲也さんなどオリジナルキャストも出演し、火星行きを決める心理バトルを描いている。ドラマ版オリジナルキャラクターの菅野洋平を演じる林さんに、役作りや原作の魅力、撮影について聞いた。

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 ◇原作を読み「読んできたマンガの中で一番の衝撃」

 4年ほど前に原作コミックスの1巻を書店で見かけ、「面白そうだと思って手に取ったら衝撃でした」と林さん。「本当に何も知らない状態で、家で風呂に浸かりながら読んでいたら、ページをめくって小吉と奈々緒がテラフォーマーを見つけた瞬間に、『おおっ!』となりました(笑い)」と振り返る。「自分が読んできたマンガ史上、一番の衝撃があり、そこからはまったのですが、実際にあり得そうだと思わされるところが、他のマンガとは違う」と魅力を語る。

 さらに、「絶対に映画化するだろうと思っていたし、海外が目を付けるのではなどと考えていたら、日本で映画化されると」と林さんは驚き、「三池監督と伊藤英明さんと聞き、絶対面白いし、一ファンとして楽しみだった」と期待していたという。そこへドラマ版のオファーが届き、「どういう形であれ、『テラフォーマーズ』に関われるのであればやりたいと思っていたので、うれしかった」と笑顔を見せる。

 原作と映画版があり世界観が構築されている中、林さんは今作でオリジナルエピソードに登場するオリジナルキャラクターを演じている。「火星に行けるかもしれないメンバーの一人をやれるという喜び」を強く感じ、「原作で火星行きに選ばれている人たちは、すごい特殊能力を持っていて、その中の一人に近付けるというイメージがあったので、そういったオリジナルキャラクターの一人として生み出してもらえたのはうれしかった」と感謝する。

 ◇菅野の人物像を「やりとりの中で見せられれば」

 菅野という人物を演じる際、林さんは「どこか他のメンバーとは違う空気を持っていて、自信があって周りに興味がないという雰囲気なのかなと思いながら作っていってました」と説明し、「台本に『君には期待していた』と(菅野が)言われるせりふが書かれていて、火星で活躍すべき才能を持ったキャラクターと思い、そこは意識してやっていました」と役作りで注力した点を語る。

 ドラマは、映画版より人間同士による心理ドラマ的な色合いが濃いが、林さんは「誰も想像できないような未来の話で、何が起きているのかというのは作り手に委ねられている世界」ということを意識しながら撮影に臨み、「人物の背景もそこまで細かく描かれるわけではないのですが、(菅野が)どういう育ち方をしてきたのかといったようなことを、他の登場人物とのやりとりの中で見せられればと思っていました」と演技の意図を明かす。

 撮影を通して、「お芝居をしていて楽しく、もっといろいろやりたかったと思える作品」と林さんは感じ、「台本を読んでいるだけではだめな現場というか、どれだけ役を掘り下げているかを試されている現場で、急な注文が来たりして現場で生まれるものが多かった」と振り返る。そして、「現実世界から離れた話なので、何でもありな現場の中、個性的な出演者の方たちとオリジナリティーあふれるお芝居をしているのは面白かった」と充実感をにじませる。

 菅野は別れた妻子がいるという設定だが、林さん自身の理想の女性像は「自分よりも他の人を優先して大事にしている人」だと笑顔を見せる。

 ◇「菅野を通して映画の見方が変われば」と期待

 完成した映像を見て、「インパクトのある原作ものなので、そちらにばかりに目がいってしまいがちですが、出来上がったドラマを見たとき、山口(義高)監督が物語を使って伝えたかったいろんなことを、台本を読んだとき以上に感じました」と実感を込める。続けて、「(登場人物)それぞれに背景や抱えているものがあり、現実ではない世界の物語ですが人間としては同じ」と切り出し、「現実にも当たり前のように起きていることが、登場人物たちにも起きている」と説明する。そして、「その中で愛があって守るべきものがあって、どんな思いで火星に行こうとしているかを描いている。そういうメッセージを、映像を見てより感じた」としみじみと語る。

 今作に出演し、「大規模でキャラクターたちもオリジナリティーにあふれている作品に飛び込む上で、もっともっと(自身の役を)ふくらませられたなと思う」と自身の考えを語り、「もっといろんなことをできると感じたので、今後もこういった作品に参加し、面白いことがやれたらなと思っています」と思いをはせる。

 自身が演じる菅野について、「菅野は原作にはあまりいない、途中で冷静になって決断する人で、きっとこういう人もいたのだろうというのが、(菅野の)物語の中のポジション」と説明し、「全体の中でどこを見てくださいというよりは、菅野のように覚悟や背負っているものがある登場人物が多いので、ドラマを見ることによって映画版の登場人物の見方が変わってくると思いますし、菅野を通して映画の見方が変わればなと」とメッセージを送った。オリジナルドラマはdTVで配信中。

 <プロフィル>

 1990年12月6日生まれ、滋賀県出身。2007年に映画「バッテリー」で主演を務め、俳優デビュー。同作での演技が評価され、第31回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、多くの新人賞を受賞する。その後も、09年に「小公女セイラ」(TBS系)で連続ドラマ初出演。主な出演作に、ドラマは「ST 赤と白の捜査ファイル」(日本テレビ系)、「銀二貫」(NHK)、「玉川区役所 OF THE DEAD」(テレビ東京系)など。映画は「風が強く吹いている」(09年)、「パレード」(10年)、「悪の教典」(12年)、「僕だけがいない街」(16年)など。16年はNHKの大河ファンタジードラマ「精霊の守り人」に出演中。また、出演した映画「にがくてあまい」(9月10日公開)、「グッドモーニングショー」(10月8日)の公開を控える。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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